専門医制度規則

日本皮膚科学会認定皮膚悪性腫瘍指導専門医制度規則

(平成21年4月23日改正)

第1章 総 則

 

(目 的)
第1条 日本皮膚科学会(以下「本会」という)の制定する日本皮膚科学会認定指導専門医制度規則に基づき,皮膚悪性腫瘍に関する優れた診療技術と知識を有する医師を育成し,これによって皮膚悪性腫瘍の診療水準を向上させ,国民の医療と福祉に貢献することを目的とする.

(定義と責務)
第2条 日本皮膚科学会認定皮膚科専門医(以下「皮膚科専門医」という)を取得した後に,さらに皮膚悪性腫瘍診療の臨床経験を積み,所定の申請資格要件を満たし,皮膚悪性腫瘍指導専門医認定試験(以下「認定試験」という)に合格した者を皮膚悪性腫瘍指導専門医とする.皮膚悪性腫瘍指導専門医は,皮膚悪性腫瘍とその関連疾患につき,各種診断法から外科的手術療法,抗がん化学療法,放射線療法,終末期緩和医療に至るまで,高い生命倫理感に基づいた広い学識と優れた技量を有していなければならない.

 

第2章 皮膚悪性腫瘍指導専門医委員会

 

(設 置)
第3条 前条の目的を達成するために,皮膚悪性腫瘍指導専門医委員会(以下「委員会」という)を置く.委員は皮膚悪性腫瘍指導専門医でなければならない.

(業 務)
第4条 委員会は,以下の業務を行う.
1.皮膚悪性腫瘍指導専門医制度に関する諸問題を検討する.
2.皮膚悪性腫瘍指導専門医の認定の資格審査と認定試験を行う.
3.皮膚悪性腫瘍指導専門医の資格更新の書類審査を行う.
4.その他,本制度の運用に必要な業務を行う.

(構 成)
第5条 日本皮膚科学会認定指導専門医制度規則に則り,本会の理事長から委嘱された委員長,副委員長および委員によって構成される.

(任 期)
第6条 委員の任期は定款第20条の規定を準用する.

 

第3章 皮膚悪性腫瘍指導専門医の認定

 

(申請資格)
第7条 皮膚悪性腫瘍指導専門医の認定を申請する者(以下「認定申請者」という)は,日本皮膚科学会認定皮膚悪性腫瘍指導専門医制度規則施行細則(以下「細則」という)第9条に規定するすべての資格要件を満たさなければならない.

(認定申請)
第8条 日本皮膚科学会認定指導専門医制度規則(以下「指導専門医規則」という)第8条に定める.

(書類審査)
第9条 指導専門医規則第9条に定める.

(認定試験)
第10条 指導専門医規則第10条に定める.

(認定)
第11条 指導専門医規則第11条に定める.

 

第4章 皮膚悪性腫瘍指導専門医資格の更新

 

(更新の申請資格)
第12条 皮膚悪性腫瘍指導専門医資格の更新を申請する者(以下「更新申請者」 という)は,細則第15条第1項に規定するすべての資格要件を満たさなければならない.

(更新の申請手続き)
第13条 指導専門医規則第13条に定める.

(更新の認定)
第14条 指導専門医規則第14条に定める.

 

第5章 皮膚悪性腫瘍指導専門医資格の喪失

 

(資格喪失)
第15条 指導専門医規則第15条に定める.
2 指導専門医規則第15条第1項第6号に規定する資格喪失要件は,次のとおりとする.日本皮膚悪性腫瘍学会,日本皮膚外科学会および日本臨床皮膚外科学会のいずれの正会員でもなくなったとき
(資格の取り消し)
第16条 指導専門医規則第16条に定める.

 

第6章 補 則

 

(規則の変更)
第17条 この規則は,理事会の承認を経なければ,変更することができない.

(施行細則)
第18条 この規則の施行についての細則は,別に定める.

 

付 則

 

1.この規則は,平成19年4月19日から施行する.
2.この規則第9条,第10条の皮膚悪性腫瘍指導専門医認定は平成19年度から行う.

付 則
1.この規則は平成21年4月23日付で一部改正する.


日本皮膚科学会認定皮膚悪性腫瘍指導専門医制度規則施行細則

(平成20年4月18日改正)
(平成21年4月23日改正)

第1章 総 則

 

(運 用)
第1条 日本皮膚科学会認定皮膚悪性腫瘍指導専門医制度の施行にあたり,規則に定められた以外の事項については,施行細則の規定に従うものとする.

(適 用)
第2条 この細則は,皮膚悪性腫瘍指導専門医の認定および更新において適用する.

 

第2章 皮膚悪性腫瘍指導専門医委員会

 

(業 務)
第3条 日本皮膚科学会指導専門医制度規則施行細則(以下「指導専門医細則」という)第3条に定める.

(定 員)
第4条 委員会の委員定数は8〜10名とする.

(成立,議決,議事録)
第5条 委員会は,次の要項に従う.
1.委員会の成立は,委員現在数の過半数とし,文書による委任を認める.
2.議事は,出席者の過半数の同意によって決する.可否同数の場合は,委員長がこれを決する.
3.議事録は,委員長が作成し,本会事務所に保管する.
4.委員会は,公開しない.議事録の閲覧は,委員長の許可を得るものとする.
 

第3章 皮膚悪性腫瘍指導専門医の認定

 

(申請手続き)
第6条 指導専門医細則第4条に定める.
2 指導専門医細則第4条第1項第1号および第4号に規定する申請に要する書類については,下記のとおりとする.
  1.皮膚悪性腫瘍指導専門医受験申請書(様式1)
  2.日本皮膚悪性腫瘍学会,日本皮膚外科学会,日本臨床皮膚外科学会のいずれかの学会が発行する5年以上の学会在籍証明書(書式は各学会に一任)
  3.皮膚悪性腫瘍症例診療実績一覧表(様式2)および同手術実施記録(様式3),抗がん化学療法実施記録(様式4)
  4.研修単位一覧表(様式5)
  5.業績(学会発表・論文発表・著書)目録(様式6)および業績(写)

(認定方法)
第7条 皮膚悪性腫瘍指導専門医の認定は,書類審査および認定試験によって行う.認定試験は,筆記試験および口頭試問による.

(告示)
第8条 指導専門医細則第6条第1項に定める.

(申請資格)
第9条 指導専門医規則第7条に定める.
2 指導専門医規則第7条第1項第3号に規定する申請資格要件については,次のとおりとする.
  1.申請期限の日を含めて,5年以上継続して日本皮膚悪性腫瘍学会,日本皮膚外科学会あるいは日本臨床皮膚外科学会の会員であり,これら3学会ならびに他の癌関連学会(日本癌治療学会,日本臨床腫瘍学会,日本癌学会,日本リンパ網内系学会)の学術集会出席回数が5年間にあわせて3回以上あること
  2.所定の修練指針(別項1)に従って,別に定める認定研修施設(別項2)において,教育医(別項3)の指導のもとに,通算5年以上の皮膚悪性腫瘍診療の臨床経験を有すること.
  3.本会が主催する必須研修会に5年間で2回以上出席すること
  4.皮膚悪性腫瘍指導専門医認定に要する研修単位は,研修会・学術集会の出席をもって取得すること
  5.皮膚悪性腫瘍指導専門医認定に要する総単位数に関しては100単位以上取得すること
  6.過去5年間に皮膚悪性腫瘍に関する学会発表(別表1に挙げる学会)ならびに論文発表があわせて7報以上あること.このうち,原則として筆頭論文(correspondingauthorを含む)が1編以上,筆頭学会発表が1報以上あること
3 この細則第9条第2項第4号に規定する研修単位は,書類審査締切日から遡った5年間に取得した単位とする.

(認定申請料)
第10条 指導専門医細則第7条に定める.

(申請書類の取扱い)
第11条 皮膚悪性腫瘍指導専門医委員会は,定められた期限までに提出された申請書類について,不備のないことを確認する.
2.申請書類における単純な記載不備については,本人に確認,修正させたうえで,申請を認め,審査する.
3.皮膚悪性腫瘍指導専門医委員会は,申請書類の正本を本会事務所に,受理した日から1年間保管する.

(研修単位の指定)
第12条 この細則第9条第2項第4号に規定する研修会・学術集会の個々の指定単位数については,別表1に定めるとおりとする.

(認定試験)
第13条 指導専門医細則第6条に定める.

 

第4章 皮膚悪性腫瘍指導専門医資格の更新

 

(更新の申請手続き)
第14条 皮膚悪性腫瘍指導専門医資格の更新申請に要する書類は,次のとおりとする.
1.皮膚悪性腫瘍指導専門医資格更新申請書(様式7)
2.日本皮膚悪性腫瘍学会,日本皮膚外科学会,日本臨床皮膚外科学会のいずれかの学会が発行する過去5年の学会在籍証明書(書式は各学会に一任)
3.研修単位一覧表(様式8)
4.皮膚悪性腫瘍診療実績一覧表・記録(様式9)
(資格更新要件)
第15条 更新申請者は,以下の資格要件のすべてを満たさなければならない.
  1.資格取得から5年間継続して皮膚科専門医であること
  2.資格取得後から5年間継続して日本皮膚悪性腫瘍学会,日本皮膚外科学会あるいは日本臨床皮膚外科学会の正会員であること
  3.外科的手術療法については過去5年間に執刀者ならびに指導的助手として皮膚悪性腫瘍30症例以上の治療経験を有すること.抗がん化学療法を過去5年間で皮膚悪性腫瘍6症例以上に実施した経験を有すること.皮膚悪性リンパ腫3症例以上の診療実績を有すること
  4.研修会・学術集会に出席し,過去5年間で研修単位の総単位数として80単位を取得した者.研修会・学術集会の指定単位数については,別表1に定めたとおりとする.必須研修会は5年間に少なくとも1回の出席を要する
  5.皮膚悪性腫瘍に関連した筆頭演者としての学会発表を1回5単位,筆頭著者としての学術論文ないし著書1編を10単位として,学術集会出席単位に替えることができる.ただし,これは研修会出席単位に替えることはできない
2 皮膚悪性腫瘍指導専門医の資格更新に要する更新申請書,研修単位一覧表,皮膚悪性腫瘍診療実績一覧表の書式については,様式7,8,9による.

(更新審査料)
第16条 指導専門医細則第8条第2項に定める.

(更新延期)
第17条 指導専門医細則第10条に定める.

 

第5章 補 則

 

(納入金額の不返還)
第18条 指導専門医細則第13条に定める.

 

付 則

 

1.この施行細則は,平成19年4月19日から施行する.また,その実施については,この規則の付則に準ずる.
2.この施行細則第8条第2項第5号に規定する研修会は,平成19年度から開始する.
3.この施行細則は,平成20年4月18日付で一部改正する.

付 則
1.この施行細則は,平成21年4月23日付で一部改正する.
2.この施行細則第7条第1項第2号の「教育医の指導のもとに通算5年以上」については,平成26年度より適用とする.ただし,適用年度までの期間は「研修期間の5年間については,申請時点で教育医のもとで研修を行っていれば,教育医のもとで行わなかった皮膚悪性腫瘍の研修期間もこれと同等とみなす.」こととする.
3.この施行細則別項3に規定する「教育医」(2)(3)については,平成20年度は皮膚科専門医資格を有していない場合であっても「教育医」ととりあつかうこととする.
4.この施行細則別項3に規定する(1),(2),(3)のいずれにも該当しない場合,皮膚科専門医資格を有している「認定研修施設における皮膚科診療部門の責任者」も教育医として取り扱うこととする.但し,当面の措置とし,その期間は平成29年4月18日までとする.



別表1

皮膚悪性腫瘍指導専門医制度における研修単位:
研修会・学術集会の出席単位数

 

研修会・学術集会の種類 1回当りの単位数
[必須研修会]  
皮膚悪性腫瘍指導専門医研修会 30単位
[その他の研修会]  
日本がん治療認定医機構の教育セミナー 30単位
日本臨床腫瘍学会の教育セミナー
Aセッション
30単位
Bセッション 15単位
日本癌学会,日本癌治療学会の教育セミナー 15単位
[学術集会]  
日本皮膚悪性腫瘍学会 10単位
日本皮膚外科学会 10単位
日本臨床皮膚外科学会 10単位
日本皮膚科学会総会*ならびに同支部学術大会* 10単位
その他の癌関連学会** 5単位

 

*皮膚悪性腫瘍関連演題を出題した場合で,委員会で認められたもの.

**日本癌治療学会,日本癌学会,日本臨床腫瘍学会,日本リンパ網内系学会.なお,外国の臨床腫瘍関係の学会,たとえば米国ASCO(TheAmericanSocietyofClinicalOncology)やヨーロッパのESMO(TheEuropeanSocietyforMedicalOncology)などへの出席は国内学会と同等と認める.

(単位の証明方法)
学会出席の証明については,演者・座長についてはプログラム表紙と当該部分のコピーを,その他の場合は学会参加票のコピーを提出する.

※資格更新の場合,皮膚悪性腫瘍に関連した筆頭演者としての学会発表を1回5単位,筆頭著者としての学術論文ないし著書1編を10単位として,学会出席単位に替えることができる.ただし,これは研修会の出席単位には替えることはできない.



別項1

皮膚悪性腫瘍指導専門医新規申請のための修練指針
それぞれの腫瘍につき,1)診断法,2)術前検査と病期決定,3)治療法(外科療法,化学療法,放射線療法,その他),4)術後(治療後)経過観察法(補助療法を含む),5)終末期緩和療法,6)腫瘍関連救急医療などにつき,この一覧表に示された項目を中心に理解を深め,適切に実践できることが目標である.なお,上記5腫瘍以外の皮膚悪性腫瘍(たとえば,血管肉腫,隆起性皮膚線維肉腫,Merkel細胞癌など)の診療も経験し,理解を深めることが望ましい.

2.外科的手術療法は執刀者ならびに指導的助手として過去5年間に計50症例以上の皮膚悪性腫瘍について治療経験を有すること.この中には悪性黒色腫,有棘細胞癌,基底細胞癌,ならびに乳房外Paget病の手術療法が含まれていること.また,抗がん化学療法を主治医あるいは共同主治医として過去5年間で10症例以上を実施した経験を有すること.皮膚悪性リンパ腫については,5症例以上(治療法は問わない)の診療実績を有すること

3.以上の臨床経験は,同一施設での経験に限らなくてもよい.関連施設や症例豊富な他施設での研修なども合わせて,個人として5年間に上記例数を経験し,研修項目を修得すること.ただし,主たる研修の場が本指導専門医制度の認定研修施設(別項2)であることを要す.経時的に皮膚悪性腫瘍指導専門医制度の教育医(別項3)による確認を受ける.

4.皮膚悪性腫瘍指導専門医修練期間については,初期臨床研修2年の終了後から算定を可とする.すなわち,皮膚科専門医申請のための研修期間と重複することを認める.

別項2

認定研修施設の要件

認定研修施設は,次の各号のいずれかの施設とする.

  1. 特定機能病院
  2. 全国がん(成人病)センター協議会加盟施設
  3. がん診療連携拠点病院
  4. その他,日本がん治療認定医機構が,研修施設として認定した施設

別項3

教育医

教育医は,日本皮膚科学会認定皮膚科専門医で,次の各号のいずれかの資格を有するものとする.

  1. 日本皮膚科学会認定皮膚悪性腫瘍指導専門医
  2. 日本がん治療認定医機構の暫定教育医,あるいは同機構のがん治療認定医
  3. 日本臨床腫瘍学会の暫定指導医,あるいは同学会のがん薬物療法専門医

但し,(2)(3)については当面の措置とし,その期間は平成29年4月18日までとする

別項4

皮膚悪性腫瘍指導専門医研修項目一覧表

I.総論

 

A.基礎的な科学原理

  1. がんの生物学
    1)正常細胞の生物学と発がんの基本的プロセスを説明できる.
    2)遺伝子の構造,機構と制御メカニズムを説明できる.
    3)細胞周期,発がんによるその制御と治療との関連を説明できる.
    4)腫瘍細胞の動態,増殖,プログラム死,細胞死と細胞増殖のバランスを説明できる.
    5)polymerasechainreaction(PCR),染色体分析などの基盤的分子生物学的・細胞生物学的手法を説明できる.

  2. 腫瘍免疫学
    1)免疫機構における細胞・液性成分を説明できる.
    2)免疫システムにおけるサイトカインの制御機構を説明できる.
    3)腫瘍抗原性,免疫関与による抗腫瘍効果を説明できる.
    4)サイトカインによる細胞障害性などを含めた免疫機構における腫瘍と宿主の相互関係を説明できる.

  3. がんの発生,疫学,スクリーニング,発がん予防
    1)皮膚の発がんにおける遺伝因子,環境因子を説明できる.
    2)色素性乾皮症,基底細胞母斑症候群などの遺伝子スクリーニングおよびカウンセリングの原理と適応を説明できる.

  4. 統計を含む臨床研究
    1)PhaseI,II,III相試験の研究デザインに関係する倫理的・法的規制,治療応答の決定に関する基準を説明できる.
    2)QOLを評価する方法を説明できる.
    3)施設内委員会と倫理委員会の役割と機能を説明できる.
    4)学会発表や論文作成を適切に行える.
    5)刊行論文の科学的意義を適切に評価できる.

B.がんの社会的側面

  1. がんの精神社会的側面
    1)疾患のマネージメントにおいてインパクトを与える文化的課題を理解する.
    2)がんの診断と治療にともなう患者の感情の相克を理解する.
    3)疾患を知らされた際の患者の適応的ないし非適応的行為・行動を理解する.
    4)がん診療における患者とその家族の心理的受容過程について理解,共感できる.
    5)終末期ケアに関する諸問題を理解する.
    6)がんが性へ及ぼす身体的,心理的影響について理解する.
    7)がん患者への向精神薬の適応と使用方法を説明できる.
    8)がん患者を精神的に力づけるプロセスを理解し,実施できる.
    9)家族構成員のかかわり,宗教的カウンセリング,看護サポート,ホスピス,医療サポートグループの役割を理解する.

  2. 患者教育
    1)健康維持:皮膚発癌のリスクファクターの回避法を説明できる.
    2)治療誘発がんのリスク:化学療法後の急性骨髄性白血病,および放射線誘発がんを説明できる.
    3)内分泌機能障害:頚部放射線照射後の甲状腺機能低下,化学療法に伴う不妊などを説明できる.

  3. 生命倫理,法的規制,経済的側面
    1)説明と同意(informedconsent)を適切に行える.
    2)医学研究の倫理を理解する.
    3)抗がん薬治療,生命維持療法の開始および生命維持装置の脱着にかかる法的規制を説明できる.
    4)がん治療における治療的介入の費用と効果の関連を理解する.
    5)利益相反(conflictofinterest)について説明できる.
    6)専門的職業人としての規範を有する.

 

II.各論

A.悪性黒色腫

 

<1.診断法>

  1. 臨床的特徴,臨床診断のポイントを説明できる.
  2. ダーモスコピーを実施し,本腫瘍の診断と鑑別のポイントを説明できる.
  3. 本腫瘍の病理組織診断を多数例経験し,正確な診断ができる.とくに早期病変の診断ができ,Spitz母斑との鑑別ができる.

<2.術前検査と病期決定>

  1. 理学的所見,一般検査,画像検査などによりTNM分類と病期分類を適切に行える.
  2. センチネルリンパ節の同定と生検ができる.
  3. 病期や患者の個別的状態などを総合的に判定し,予後を推定し,各種治療法の適応とリスクを評価し,適切な治療計画を立てることができる.

<3.治療法>

  1. 外科療法
    a.原発巣の切除範囲を適切に設定し,切除術を実施できる.
    b.腫瘍切除後,適切な再建術を実施できる.
    c.所属リンパ節廓清の適応を正しく判定し,廓清術を施行できる.
    d.適切な術後管理ができ,術後合併症の予防と対応ができる.
    e.転移巣摘出の適応を説明し,必要に応じて他科と共同してそれを実施できる.

  2. 化学療法
    a.本腫瘍に用いられる主要な抗がん薬につき,薬理作用や有害反応の基本的事項を説明できる.
    b.本腫瘍に用いられる主なレジメンを説明し,実際の症例への適用を判定し,適切に実施できる.また,必要に応じて,適切な支持療法を行うことができる.
    c.固形癌における薬物療法の治療効果判定基準を説明し,実際に正しく判定できる.
    d.抗がん薬による有害反応の種類,重症度の判定基準を説明し,正しく判定できる.
    e.抗がん薬による有害反応に対して適切に対応できる.
    f.肝転移に対する動注化学療法や塞栓術の適応を説明し,他科と共同して実施できる.

  3. 放射線療法
    a.本腫瘍における放射線療法の意義を説明できる.
    b.脳転移,骨転移などに対し,対症的治療法としての放射線療法の意義と適応を説明できる.
    c.脳転移に対するガンマナイフの意義と適応を説明できる.

  4. その他
    a.本腫瘍に関する診療ガイドラインの概要を説明し,適切に運用できる.
    b.患者・家族への病名告知や病状説明を適切に実施できる.
    c.セカンドオピニオンを適切に提供できる.

<4.経過観察・補助療法など>

  1. 各病期,各患者に応じて適切な術後の経過観察を実施できる.
  2. 本腫瘍の術後補助療法の意義を説明し,必要に応じて適切に実施できる.
  3. 本腫瘍の血清腫瘍マーカーを列挙し,それらの意義を説明できる.

<5.終末期緩和療法など(全腫瘍に共通)>

  1. 進行期患者に対する緩和療法など,患者のQOLを保持する適切な処置を実施できる.
  2. オピオイドを含めた各種鎮痛薬の適応とその有害反応への対処について説明し,適切な疼痛対策を実施できる.
  3. 終末期患者の精神的苦悶に対し,家族やコメディカルなどと共同し,最大限の人間的支援を実施できる.

<6.腫瘍関連救急医療(全腫瘍に共通)>

  1. 脊髄圧迫や心タンポナーデなど即時の処置が必要な事態を知り,それらががんによるものかを鑑別するための適切な検査を実施できる.
  2. 上記の救急事態の急性期および慢性期に適切な治療を実施できる.

B.有棘細胞癌

<1.診断法>

  1. 臨床的特徴と臨床診断のポイントを説明できる.
  2. 本腫瘍の様々な前癌症や早期癌を列挙し,それらの病態を説明できる.
  3. 診断確定のための生検を適切に実施できる.
  4. 本腫瘍の正しい組織診断ができる.

<2.術前検査と病期決定>

  1. 理学的所見,一般検査,画像検査などによりTNM分類と病期分類を適切に実施できる.
  2. 原発巣のリスク分類を説明し,実際の症例に適用できる.
  3. 病期や患者の個別的状態などを総合的に判定し,予後を推定し,各種治療法の適応とリスクを評価し,適切な治療計画を立てることができる.

<3.治療法>

  1. 外科療法
    a.原発巣の切除範囲を適切に設定し,切除術を実施できる.
    b.腫瘍切除後,適切な再建術を実施できる.
    c.所属リンパ節廓清の適応を正しく判定し,廓清術を実施できる.
    d.適切な術後管理ができ,術後合併症の予防と対応ができる.
    e.転移巣摘出の適応を説明し,必要に応じて他科と共同してそれを実施できる.

  2. 化学療法
    a.本腫瘍に用いる主要な抗がん薬の薬理作用と有害反応の基本的事項を説明できる.
    b.本腫瘍に用いられる主なレジメンを説明し,実際の症例への適用を判定し,適切に実施できる.また,必要に応じて,適切な支持療法を行うことができる.
    c.固形癌における薬物療法の治療効果判定基準を説明し,正確に判定できる.
    d.抗がん薬による有害反応の種類,重症度の判定基準を説明し,正しく判定できる.
    e.抗がん薬による有害反応に対して適切に対応できる.

  3. 放射線療法
    a.本腫瘍における放射線療法,放射線化学療法の意義について説明し,放射線科医と共同してそれらを適切に実施できる.
    b.放射線障害に適切に対処できる.

  4. その他
    a.凍結療法,外用化学療法等の局所療法の適応と意義を説明し,適切に実施できる.
    b.本腫瘍に関する診療ガイドラインの概要を説明し,適切に運用できる.
    c.患者・家族への病名告知,病状説明等を適切に行える.
    d.セカンドオピニオンを適切に提供できる.

<4.経過観察・補助療法など>

  1. 各病期,各患者毎に適切な術後経過観察を行うことができる.
  2. 本腫瘍の術後補助療法の意義を説明し,必要に応じて適切に実施できる.
  3. 本腫瘍の血清腫瘍マーカーとその意義を説明できる.

<5.終末期緩和療法など(悪性黒色腫の項参照)>
<6.腫瘍関連救急医療(悪性黒色腫の項参照)>

 

C.基底細胞癌

<1.診断法>

  1. 臨床的特徴と臨床診断のポイントを説明できる.
  2. ダーモスコピーを実施し,本腫瘍の診断と鑑別のポイントを説明できる.
  3. 診断確定のための生検を適切に行い,正しい組織診断ができる.

<2.術前検査と病期決定>

  1. 理学的所見,一般検査,画像検査等によりTNM分類,病期分類を適切に行える.
  2. 原発巣のリスク分類を説明し,実際に適切な対応ができる.
  3. 病期や患者の個別的状態等を総合的に判定し,予後を推定し,各種治療法の適応とリスクを評価し,適切な治療計画を立案できる.

<3.治療法>

  1. 外科療法
    a.病巣のリスク分類,患者の個別的状況等を考慮し,切除範囲を適切に設定し,切除術を適切に実施できる.
    b.腫瘍切除後,適切な再建術を施行できる.
    c.適切な術後管理ならびに術後合併症の予防と対応ができる.

  2. 化学療法
    a.本腫瘍に用いられる主要な抗がん薬の薬理作用と有害反応についての基本的事項を説明できる.
    b.本腫瘍に用いられる主なレジメンを説明し,適用を判定して,それらを実施できる.また,必要に応じて,適切な支持療法を実施できる.
    c.固形癌における薬物療法の治療効果判定基準を説明し,正確に判定できる.
    d.抗がん薬による有害反応の種類,重症度の判定基準を説明し,正しく判定できる.
    e.抗がん薬による有害反応に対して適切に対応できる.

  3. 放射線療法
    a.本腫瘍における放射線療法や放射線化学療法の意義を説明し,それらを放射線科医と共同して適切に実施できる.
    b.放射線障害に適切に対処できる.

  4. その他
    a.凍結療法,外用化学療法,炭酸ガスレーザー治療等の適応と意義を説明し,それらを適切に実施できる.
    b.本腫瘍に関する診療ガイドラインの概要を説明し,適切に運用できる.
    c.患者・家族への病名告知,病状説明等を適切に行える.
    d.セカンドオピニオンを適切に提供できる.

<4.経過観察・補助療法など>

  1. 各病期,各患者毎に適切な術後経過観察を実施できる.

<5.終末期緩和療法など(悪性黒色腫の項参照)>
<6.腫瘍関連救急医療(悪性黒色腫の項参照)>

 

D.乳房外Paget病

<1.診断法>

  1. 臨床的特徴と臨床診断のポイントを説明できる.
  2. 診断確定のための生検を適切に行い,正しい組織診断ができる.
  3. photodynamicdiagnosisについて説明できる.

<2.術前検査と病期決定>

  1. 理学的所見,一般検査,画像検査等により進行度を正しく判定できる.
  2. 隣接臓器への進展につき,必要に応じて他科と共同して,適切に評価できる.
  3. 進行度や患者の個別的状態などを総合的に判定し,予後を推定し,各種治療法の適応とリスクを評価し,適切な治療計画を立案できる.

<3.治療法>

  1. 外科療法
    a.外科療法の適応と非適応を正しく判定できる.
    b.原発巣の切除範囲を設定し,切除術を適切に実施できる.
    c.腫瘍切除後,適切な再建術を施行できる.
    d.所属リンパ節廓清の適応を正しく判定し,施行できる.
    e.適切な術後管理ならびに術後合併症の予防と対応ができる.
    f.他科と共同して人工肛門造設や尿路変更の適応を検討し,実施できる.

  2. 化学療法
    a.本腫瘍に用いられる主要な抗がん薬の薬理作用と有害反応の基本的事項を説明できる.
    b.本腫瘍に用いられる主なレジメンを説明し,適用を判定し,それらを実施できる.また,必要に応じて,適切な支持療法を実施できる.
    c.固形癌における薬物療法の治療効果判定基準を理解し,正確に判定できる.
    d.抗がん薬による有害反応の種類と重症度判定基準を説明し,正しく判定できる.
    e.抗がん薬による有害反応に適切に対応できる.

  3. 放射線療法
    a.本腫瘍における放射線療法,放射線化学療法の意義を説明し,放射線科医と共同して,適切に実施できる.
    b.放射線障害に適切に対処できる.

  4. その他
    a.患者・家族への病名告知,病状説明等を適切に行える.
    b.セカンドオピニオンを適切に提供できる.

<4.経過観察・補助療法など>

  1. 転移様式の定型的パターンを説明し,各病期,各患者毎に適切な術後経過観察を実施できる.
  2. 血清腫瘍マーカーとしてのCEA測定の意義を説明できる.
  3. 術前・術後の非経腸径路の栄養補給が必要な場合,その適応と合併症を説明できる.

<5.終末期緩和療法など(悪性黒色腫の項参照)>
<6.腫瘍関連救急医療(悪性黒色腫の項参照)>

 

E.皮膚悪性リンパ腫

<1.診断法>

  1. 臨床的特徴と臨床診断のポイントを説明できる.
  2. 本腫瘍の病理組織診断を多数例経験し,正確に診断できる.さらに,免疫染色,細胞表面形質検査を適切に実施し,判定できる.
  3. 染色体転座,遺伝子学的検査を適切に実施し,判定できる.
  4. リンパ腫の病型分類法を説明し,正しい病型分類ができる.

<2.術前検査と病期決定>

  1. 理学的所見,一般検査,画像検査等によりTNM分類と病期分類を適切に行える.
  2. 病期や患者の個別的状態等を総合的に判定し,予後を推定し,各種治療法の適応とリスクを評価し,適切な治療計画を立案できる.

<3.治療法>

  1. 外科療法
    a.外科的切除が適応となりうる低悪性度リンパ腫を判定し,切除術を適切に実施できる.
    b.診断的リンパ節生検を適切に実施できる.

  2. 化学療法
    a.本腫瘍に用いられる主要な抗がん薬の薬理作用と有害反応の基本的事項を説明できる.
    b.導入化学療法(CHOP,R-CHOP,ABVD等)の適応を判定し,適切に実施できる.必要に応じて,適切な支持療法を実施できる.
    c.維持療法を適切に実施できる.
    d.サルベージ療法の適応を判定し,実施できる.
    e.薬物療法の治療効果判定基準を説明し,正確に判定できる.
    f.抗がん薬による有害反応の種類と重症度判定基準を説明し,正しく判定できる.
    g.抗がん薬による有害反応に適切に対応できる.

  3. 放射線療法
    a.本腫瘍における放射線療法の適応を正しく判定し,線源と総線量等を説明し,放射線科医と共同して適切に実施できる.
    b.放射線障害に適切に対処できる.

  4. その他
    a.光化学療法を説明し,その適応を判定し,適切に実施できる.
    b.BRM療法を説明し,それを適切に選択し,実施できる.
    c.統一治療プロトコールを説明し,適切に実施できる.
    d.患者・家族への病名告知,病状説明等を適切に行える.
    e.皮膚悪性リンパ腫のデータ登録を正しく実施できる.
    f.リンパ腫治療の拠点病院としての役割を果たし,セカンドオピニオンを適切に提供できる.

<4.経過観察・補助療法など>

  1. 各病型,各患者毎に適切な術後の経過観察を実施できる.
  2. 症例記録とその保管を実施できる.

<5.終末期緩和療法など(悪性黒色腫の項参照)>
<6.腫瘍関連救急医療(悪性黒色腫の項参照)>

 

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