WCD2027へようこそ― グアダラハラで待つ、皮膚科学の未来 ―
夜のGuadalajara大聖堂に投影されるプロジェクションマッピング
WCD2027へようこそ
— グアダラハラで待つ、皮膚科学の未来 —


藤本 学
日本皮膚科学会理事長

ホルヘ・オカンポ・カンディアニ
WCD2027会長
2027年6月、第26回世界皮膚科学会(WCD2027)がメキシコ・グアダラハラで開催されます。大会を前に、WCD2027会長のホルヘ・オカンポ・カンディアニ先生と、学術プログラム委員会副委員長を務める藤本学先生(日本皮膚科学会(日皮会)理事長)に、大会の見どころや注目ポイント、さらにグアダラハラの魅力についても語っていただきました。
科学的卓越性・イノベーション・多様性・包摂性が融合する大会に
藤本 WCD2027のテーマは「多様で包摂的な未来に向けた、皮膚科学エコシステムの探究(Discover the Dermatology Ecosystem. For a Diverse and Inclusive Future)」ですね。このテーマに込めた思いや、大会のビジョンを教えてください。
オカンポ このテーマには、皮膚科学の未来を切り拓くためには、さまざまな立場の人々が協働することが重要だという思いが込められています。ここでいう「皮膚科学エコシステム」とは、皮膚の健康に関わるさまざまな人や組織が、相互に支え合うネットワークを意味します。皮膚科学は、皮膚科医と患者だけで成り立つものではありません。研究者や教育者、看護師、プライマリケア医、患者団体、企業、政策決定者など、多くの人々がそれぞれの立場から、人々の皮膚の健康向上に取り組んでいます。WCD2027では、科学的卓越性とイノベーションの追求と同時に、多様性と包摂性を大切にしたいと考えています。国際的なリーダーから初めてWCDに参加する若手まで、すべての参加者がこのエコシステムの一員であると実感できる大会を目指しています。
藤本 本大会では何を楽しみにされていますか。
オカンポ 何より、ラース・フレンチ先生と藤本先生のリーダーシップのもと、国際的な学術プログラム委員会が企画を進めている素晴らしい学術プログラムです。さまざまなディスカッション、最先端の研究発表、実践的なワークショップ、AIをはじめとする新しいテクノロジーを取り上げた企画、臨床と基礎研究の双方にまたがる多分野連携セッションなど、現代皮膚科学を幅広く網羅するプログラムを予定しています。藤本先生、このプログラムを構成する上で特にどのような点に力を入れてこられたのですか。
藤本 科学的な先端性を保ちながら、日々の臨床実践にも直結する内容となるよう意識しています。皮膚科学が急速に進歩する中、新たな知見や革新的な治療法を取り上げると同時に、世界各地の皮膚科医が臨床現場で直面している課題にも目を向けることが重要だと考えています。また、経験豊富な専門家からキャリア初期にある皮膚科医・研究者まで、多様な背景を持つ参加者が互いに学び合える機会を作ることにも力を入れてきました。本大会を通じて、新しい知識や視点を得るとともに、今後につながる出会いを持ち帰っていただければと思っています。
オカンポ WCDの大きな魅力の一つは、親しい仲間との再会や、国境を越えた新たな出会いです。本大会でもウェルカムレセプションをはじめ、交流会や企業関連イベントなど、参加者同士がリラックスして語り合える機会を用意しています。
藤本 参加を検討している若手皮膚科医には、どのような支援をお考えでしょうか。
オカンポ 世界中の才能ある若手医師が参加できるよう、研修医や専攻医、若手研究者、そして低・中所得国出身の医師を対象とした奨学金制度を用意しています。さらに、学術プログラムには専用の教育セッション、研究発表の機会、国際的な専門家との対話の場、メンターシップや長期的な国際協力につながる交流の機会を数多く盛り込んでいます。
ILDS理事の現地視察
世界の皮膚科学コミュニティとの連携を深め、“legacy”として未来へつなぐ
藤本 本大会の重要なテーマの一つである多様性は、プログラムや講演者にどのように反映されているのでしょうか。
オカンポ 地域や専門分野、キャリアステージ、立場などのバランスを取りつつ、皮膚科学の多様性をプログラムに反映したいと考えています。WCDは、世界の皮膚科学コミュニティのための大会です。学術プログラム委員会では、あらゆる地域の専門家を招いています。
藤本 ラテンアメリカの皮膚科学会にとって、またオカンポ先生ご自身にとって、WCDがメキシコで開催されることには、どのような意味があるのでしょうか。
オカンポ 私にとって、WCDをメキシコで開催できることは大変な名誉です。深い感慨を覚えると同時に、大きな責任も感じています。ラテンアメリカは、研究、教育、臨床の分野で皮膚科学に多大な貢献をしてきましたが、WCDを開催する機会はこれまでほとんどありませんでした。今回のグアダラハラでの開催は、これまでのラテンアメリカの皮膚科医たちの功績が認められた証しだと考えています。そして、本大会がラテンアメリカの若手医師たちの刺激となり、国際的な連携の強化、研究機会の拡張につながるとともに、2027年6月の1週間にとどまらず、この地域に長く受け継がれる遺産(legacy)となることを願っています。
藤本先生は日皮会理事長として、本大会でどのようなことを楽しみにされているのでしょうか。
藤本 本大会を機に、日本と世界、そしてメキシコを含むラテンアメリカの皮膚科学コミュニティとの結び付きを、さらに強めていきたいと考えています。日本の皮膚科学は、臨床と研究の両面で豊かな伝統を築いてきました。本大会では、特に若手会員が自身の研究成果を世界に発信し、長期的な国際協力関係を築いていく機会を多く作りたいですね。また日本国内でも、質の高い患者中心の皮膚科診療を支え続けながら、日皮会として皮膚科学の急速な進歩に対応していけるよう力を注いでいきたいと思っています。
メキシコ文化の中心地・グアダラハラの魅力

会場:Expo Guadalajara

ライトアップされたグアダラハラ大聖堂と夜景
藤本 本大会への参加が初めてのメキシコ訪問になる日本の皮膚科医も多いと思います。グアダラハラの魅力について、教えていただけますか。
オカンポ グアダラハラはマリアッチ音楽とテキーラ発祥の地であり、メキシコの伝統や歴史、そして活気を満喫できると思います。グアダラハラ近郊のテキーラの街やチャパラ湖はもちろん、メキシコまで来るのだから、日程が許せばカンクン、プエルト・バヤルタ、ロス・カボスといった美しいビーチリゾートや、ユカタン半島に残るマヤ文明の遺跡、メキシコシティの美術館や劇場など、メキシコ各地の魅力にも触れていただきたいですね。しかし、グアダラハラを本当に特別な場所にしているのは、そこに住む「人」だと思います。メキシコのホスピタリティは世界的にも知られており、グアダラハラはそうした交流にも最適な場所です。参加される皆さんを、単なる「訪問者」ではなく、「私たちの大切なゲスト」としてお迎えしたいと思っています。日本の先生方にも、WCDの学術的な質の高さだけでなく、現地で出会う人々の温かさにも感動していただけると思います。


藤本 安全面について、参加者が滞在中に注意が必要な点はありますか。
オカンポ 他の大都市と同様、グアダラハラにも避けたほうがよい地域はありますが、市街地は比較的安全です。また、主要ホテルと会場のExpo Guadalajara、トラケパケなどの主要観光地を直接結ぶシャトルバスの運行を計画しており、警察や医療関係者ともすでに協議を始めています。市内の移動には公共交通機関も利用できますが、混雑することが多いため、安全性が高く料金も手頃なUber Taxiか、ホテルや会場周辺のタクシーを利用するのがよいでしょう。ただし、夜間、特に22時以降は、観光地であっても外出を控えることをお勧めします。

トラケパケの街

トラケパケの街を歩くオカンポ会長

雑貨店を巡る視察団(トラケパケ地区)
藤本 日本からのアクセスについてもお伺いできますか。
オカンポ 成田からメキシコシティへの直行便があり、そこから1時間程度のフライトでグアダラハラに到着します。あるいは、ロサンゼルスやニューヨークなどのアメリカの主要都市を経由してグアダラハラへの直行便を利用するなど、いくつか選択肢があります。
藤本 想像よりもずっとアクセスしやすいですね。
WCD2027への参加を検討している先生方へのメッセージ
藤本 WCD2027は、皮膚科学の幅広い領域における最新の知見に触れ、世界中の皮膚科医と意見を交わし、将来の臨床や研究の方向性を形作る関係を築く貴重な機会となるでしょう。また、メキシコならではの温かな文化やホスピタリティに触れられることも、大きな魅力です。日本からは長旅になりますが、長い旅の先には、これまでにない視野の広がりが待っています。グアダラハラに足を運ぶ価値は十分にあると信じています。特に若手皮膚科医の皆さんには、ぜひ一歩踏み出してご参加いただきたいですね。
オカンポ 日本には「一期一会」という美しい言葉がありますね。WCD2027が、心に残る時間や長く続く友情、そして世界の皮膚科学の発展につながる新たな連携を生み出す場となり、一期一会の精神を体現できることを願っています。そして、私がもう一つ好きな日本の言葉が「改善」です。よりよいものを絶えず追求する姿勢は、私たちの仕事にも通じるものがあります。学び続け、革新を続け、力を合わせて患者さんによりよい医療を届けていく――。その姿勢を、私たちも大切にしたいと思っています。
メキシコには、「Mi casa es su casa(私の家はあなたの家です)」という言葉があります。私たちは皆さんを心から歓迎します。そして帰国された後も、素晴らしい学会だったという思い出だけでなく、そこで生まれた友情やメキシコの人々の温かさを覚えていていただけたらうれしいです。2027年、グアダラハラで皆さんをお迎えできることを心から楽しみにしています。
WCD2027概要
大会名:World Congress of Dermatology 2027(WCD2027)
会期:2027年6月21日(月曜日)~26日(土曜日)
会場:Expo Guadalajara(メキシコ・グアダラハラ)
公式動画:WCD2027 – The World Congress of Dermatology in Guadalajara
公式サイト:https://www.wcd2027guadalajara.org/
会員専用ページ