過酸化ベンゾイル含有製剤のベンゼンに関する情報
過酸化ベンゾイルを高熱の下で保管すると、米国のFood and Drug Administration(FDA)が許容している2ppmを超えるベンゼンを生じることが、2024年3月5日にアメリカのValisure社からFDAに報告され、2024年9月10日にValisure社が投稿したものがJournal of Investigative Dermatologyに掲載されました1)。
FDAは、2024年8月28日に精査中のコメントを出していましたが、2025年3月11日に95の過酸化ベンゾイル含有製品を検査し、90%以上の製品でベンゼンは検出されないか非常に低いレベルでしたが、高レベルで検出された少数の製品については発売を中止すべきとの報告を行っています2)。
さらに、2025年3月24日にAmerican Academy of Dermatology(AAD)は声明(American Academy of Dermatology statement on Benzoyl Peroxide in OTC Personal Care)を出しました3)。そのなかで、いくつかの研究はベンゼンと癌などの特定の疾患のリスク上昇との潜在的な関連を示唆しているが、潜在的なリスクはまだ調査中であること、FDAは現時点では一般の人々が何らかの行動を取ることを推奨していないことについて述べ、さらにAADは、患者が過酸化ベンゾイルを含むスキンケア製品の適切な保管と取り扱いに従い、懸念がある場合は皮膚科医に相談することを推奨しています。さらに、リスクを最小限に抑えるには、過酸化ベンゾイルを含む製品は、製造元の指示に従って室温または低温の条件(冷蔵など)で保管し、10〜12週間ごとに交換すること、高温にさらされた場合は廃棄することを推奨しています。
日本では、市販されている過酸化ベンゾイルスキンケア製品はなく、生産や処方までの保管が管理されている処方薬のみです。日本の過酸化ベンゾイル含有製剤の販売会社2社は過酸化ベンゾイル含有製剤のベンゼン濃度の測定を行い、いずれの製剤においても ICH-Q3C(医薬品の残留溶媒ガイドライン)の濃度限度値(2ppm)をはるかに下回り、患者の健康に影響する懸念は極めて低いものと評価し、2026年2月時点でコメントを公表しています4, 5)。PMDAからも再審査報告書の形で、文書が出ています6,7,8)。日本皮膚科学会の尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン改訂委員会は、過酸化ベンゾイル含有製剤の使用に際して、処方された際に指示された保管方法を守り、有効期間内に使用することを推奨します。また、並行輸入あるいは海外のドラッグストアで購入した過酸化ベンゾイルを含むスキンケア製品を安易に使用しないことをお勧めします。
尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン改訂委員会
1)Kucera K et al: Evaluation of Benzene Presence and Formation in Benzoyl Peroxide Drug Products.J invest Dermatol 145: 1147-1154.e, 2025.
2)Limited number of voluntary recalls initiated after FDA testing of acne products for benzene; findings show a small number of products with elevated levels of benzene contamination
3)American Academy of Dermatology statement on Benzoyl Peroxide in OTC Personal Care Products
4)過酸化ベンゾイル含有製剤(ベピオ・エピデュオ)の 貯法及び使用期限の遵守に関する患者指導のお願い
5)デュアック® 配合ゲルの貯法及び使用期限の 遵守について患者指導のお願い
6)再審査報告書(デュアック配合ゲル)
7)再審査報告書(ベピオゲル2.5%、ベピオローション2.5% )
8)再審査報告書(エピデュオゲル)
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