BCC-CQ13
基底細胞癌に対して凍結療法は有益か
推奨度:C1
推奨文:結節型や表在型基底細胞癌に対して凍結療法は比較的高い奏効率を示すが、再発率は高く、手術不能例において選択を検討すべき治療法である。
解説:凍結療法は簡便、安価で皮膚科施設ではどこでも行えるという利点がある一方、悪性腫瘍の局所制御率は低いと考えられている(1)。
  基底細胞癌(BCC)に対する凍結療法と放射線療法を比較したランダム化試験では再発率が凍結療法群39%、放射線療法群4%と報告されている(2,3,4)。しかし、これが報告された1986年の時点では、凍結療法は-30°Cで1分間凍結という現在とは異なる方法で行われており、上記データの解釈には注意を要する。近年では手術療法と比較して局所再発率に有意差はなかったとの報告がある(手術0%、凍結6.25%)(オッズ比:0.23, 95%CI:0.01-6.78)(4,5)。また、病理組織型を問わず多数の症例で90%以上の奏効率が得られたという報告がいくつかみられる(3)。
  表在型と結節型の両者を対象とした光線力学的療法photodynamic therapy(PDT)との比較試験で、1年後の組織学的な再発率は凍結療法群15%、PDT群25%で、10%の差はあるが有意水準には至らず、病型別にみても差は認められなかった(6)。しかし凍結療法はPDTよりも治療後の整容面では有意に劣っていた。
  報告者の多くが、凍結療法の対象を結節型および表在型のBCCとしており、これら低リスク症例には安価で簡便な治療法といえる。具体的には、液体窒素スプレーで最低2回の凍結サイクルなどが推奨されている(7)。しかし、境界不明瞭なモルフェア型、微小結節型、浸潤型や再発例に対してのエビデンスはなく、有益とはいえない。