BCC-CQ16
基底細胞癌に対してイミキモド(imiquimod)外用は有益か
推奨度:C1
推奨文:5% imiquimodクリームは十分に有用であり、とくに表在型基底細胞癌の手術不能例では適応を検討する価値がある。ただし、本邦では本剤は今のところ個人輸入でしか購入できない。
解説:Imiquimodは樹状細胞やマクロファージなどに発現しているToll-like receptor 7に直接結合し、シグナルを伝えることによって、タイプ1インターフェロンを誘導し自然免疫を活性化する。欧米ではアルダラRクリームとして販売され、尖圭コンジローマに対して保険適応となっており、本邦でも個人輸入で購入可能な薬剤である。上記の他、日光角化症、ボーエン病など表在性の皮膚悪性腫瘍でも有効性が認められつつある。
  基底細胞癌(BCC)ではプラセボとの比較試験が全世界で進行中であり、米国で行われた試験では、表在型BCCに対し6週間毎日または5回/週の外用で、それぞれ81%、79%の病理学的消失率を示している(1)。欧州でも同様の試験が行われ、表在型BCCに対し6週間毎日の外用で、80%の病理学的消失率を示している(2)。またBCCに対し6週間または4週間5回/週の外用後のMohs手術で、有意に手術範囲を縮小できたとする報告もある(3)。結節型では治療効果は若干低下するが(4)、掻爬・電気凝固(C&E)後に使用すれば有用であったという報告がある(5)。エビデンスレベルとしてはやや劣るオープン試験ではあるが、外用24回で浸潤型でも70%の奏効率を示したとする報告もある(6)。
  有害事象としては紅斑、びらん、潰瘍、局所刺激感などの局所反応が主体であり、おおむね安全に使用できる (1,2,3,4,5)。
  5% imiquimodクリームは他の治療法との比較試験はまだ行われていないが、有効であることは確実なようである。今後は、他の治療法、とくに適応病理型の類似する光力学的治療(PDT)との比較が重要になるであろう。以上より、5% imiquimodクリームの6週間、5回/週の外用は表在型BCCに対し有用かつ安全であり、手術不能例に対して考慮する価値があるが、浸潤型に対するエビデンスはない。