BCC-CQ3
基底細胞癌の診断にダーモスコピーは有益か
推奨度:B
推奨文:基底細胞癌はダーモスコピーにおいて特徴的所見を呈し、十分な精度の画像検査として推奨される。
解説:基底細胞癌(BCC)は臨床症状に多様性を示すので、臨床診断の精度を高めるために補助的情報を加えることは意義がある。特に鑑別すべき疾患として、メラノーマをはじめとする悪性腫瘍や、色素細胞母斑、脂漏性角化症、脂腺肥大症、毛芽腫などの良性の色素性病変が挙げられる。
 ダーモスコピーは皮膚科特有の優れた画像診断法のひとつとして評価が得られている。現在もその適応と限界が模索され、広く色素性病変(上皮系・メラノサイト系)、脈管性病変、出血性病変を対象に、診断精度を高める検討が加えられている。
 ダーモスコピーで基底細胞癌を疑う病変を観察する場合、まずpigment networkの有無を検討する。これが存在する場合は悪性黒色腫や色素細胞母斑などのメラノサイト系腫瘍を考える(陰性所見:基底細胞癌では認められない所見)。pigment networkが認められなかったら、陽性所見(基底細胞癌でみられる特徴的所見)である以下の6項目の所見の有無を検討する。[1]ulceration(潰瘍化)、[2]large blue-gray ovoid nests(灰青色類円形大型胞巣)、[3]multiple blue-gray globules(多発灰青色小球)、[4]multiple leaflike areas(多発葉状領域)、[5]spoke wheel areas(車軸状領域)、[6]arborizing teleangiectasia(vessels)(樹枝状血管拡張)。これらの所見が一つでも見出された場合、BCCである確率は93%と報告されている(1)。ダーモスコピーはBCCと他の色素性腫瘍との鑑別診断上きわめて有益である(1,2,3)。