BCC-CQ6
基底細胞癌に対して手術療法は有益か
推奨度:A
推奨文:基底細胞癌の治療の第一選択は手術療法である。
解説:基底細胞癌(BCC)の治療の原則は手術療法と考えられており、きわめて有用なことが実証されている。本邦では行われていないMohs手術(術中にすべての切除断端を凍結切片で確認しながら手術を施行する)を除けば、他の治療法(放射線、凍結、電気掻爬など)に比べ有意に局所再発を抑制できる(1,2)。  頭頸部の4cm以下のBCC 347例について手術療法と放射線療法を比較した試験では、4年後の再発率は手術療法0.7%対放射線療法7.5%(オッズ比:0.009、95%CI:0.01-0.67)となり、有意に手術療法が優っていた(3)。整容面でも手術療法は優れており、良好例が手術療法87%対放射線療法69%であった(3)。他方、手術療法と凍結療法を比較し、局所再発率に有意差はなかったとの報告がある(手術0%、凍結6.25%)(オッズ比:0.23、95%CI:0.01-6.78)(4)。結節型について手術療法と光線力学的療法(photodynamic therapy)を比較した試験では、再発率で4% vs 16%と大きな違いがみられたが、有意差は認められなかった(5)。両報告とも有意差は認めないものの、他の治療法の方が再発しやすい傾向にあり、どちらの報告でも手術療法が推奨されている。  欧米からのほとんどの報告では、Mohs手術が最もBCCの局所再発を抑制できる治療法として推奨されているが、日本では様々な理由からMohs手術は実施できない。しかし、近年Mohs手術と断端の一部を確認しながら行う手術で再発率に有意差がみられなかったとする報告がなされた(6)。以上、本邦ではBCCの治療の第一選択は手術療法である。なお、高リスク病変(別表参照)では術中迅速病理検査にて断端の確認を行うことが推奨される。