MM-CQ1
紫外線防御を行うとメラノーマの発生率が減少するか
推奨度:C2
推奨文:サンスクリーン剤などで紫外線防御を行うことによりメラノーマの発生率が減少するという証拠はない。
解説:メラノーマの発生には遺伝的背景と環境因子の両者が重要な役割を演じており、白人ではメラノーマの家族歴、スキンタイプ、雀卵斑の密度、皮膚・眼・毛髪の色などの遺伝的因子とともに、小児期における強い日焼けが重要な危険因子であることが疫学的研究から明らかにされている(1,2)。しかし、有棘細胞癌の場合とは異なり、蓄積的な紫外線暴露がメラノーマの発症リスクを高めるという証拠は無く、またメラノーマ発癌の作用波長も知られていない。したがって、サンスクリーン剤などの使用による徹底した生涯に亘る紫外線防御がメラノーマ発症の予防に役立つという理論的な根拠は乏しい。小児期におけるサンスクリーン剤の使用とメラノーマの関係についての18の大規模研究を調べた最近のシステマティック・レビューでも、サンスクリーン剤の使用がメラノーマの予防に役立つという結論は得られていない(3)。一方、ヒスパニックや黒人などの有色人種においては、メラノーマの発生と紫外線暴露を関連付ける疫学的な調査は存在しない(4)。日本人においても、メラノーマの過半数が肢端部や粘膜に発生している事実を考慮すると、メラノーマの発生に関する紫外線の関与は少ないものと考えられる。以上を総合的に考慮すると、サンスクリーン剤の使用などで紫外線防御を行うことで、日本人のメラノーマの発生率が減少するという確証はない。