MM-CQ13
メラノーマの所属リンパ節転移に対し、根治的リンパ節郭清を行うと生存率が改善するか
推奨度:B
根治的リンパ節郭清(total lymph node dissection; TLND)により約1/3の症例で5年以上の長期生存が得られる。特に、若年者、四肢原発、リンパ節転移の個数が少なく被膜外浸潤がない、などの条件を満たす患者にはTLNDの施行を積極的に考慮すべきである。
解説:所属リンパ節に腫脹が認められ、そこに組織学的にメラノーマの転移が確認され、さらに他に遠隔転移の所見が認められない場合には、当該リンパ節のTLNDが考慮される。
  Karakousis(1)によるシステマティックレビューによれば、TLND後の5年生存率は19〜38%、平均26%であり、組織学的に転移陽性のリンパ節の数、リンパ節の被膜外浸潤の有無が予後を規定する最も重要な因子であった。TLND後の局所再発率は0.8%〜52%であった。また、インターフェロンα-2bによる補助療法で5年生存率は26%から37%に改善していた。このように、術後の局所再発の問題はあるものの、TLNDによりかなり良好な予後が得られることが示されている。
多数例におけるTLNDの有用性を検討した比較的最近の報告でも、約30%の術後5年または10年生存率が得られることが示されている。一方、予後不良と関係する因子として、高齢、体幹または頭頸部の原発、3個より多数のリンパ節転移、リンパ節の被膜外浸潤などが同定されている(2,3)。
 以上のように所属リンパ節転移に対するTLNDは、その施行により約1/3の患者を救命できる可能性があり、特に上記の予後不良因子の少ない患者には積極的に適応を考慮すべき治療法といえる。しかし、TLNDのみでは予後の改善が望めない患者も数多く存在するので、その適応を慎重に検討するとともに、インターフェロン投与などの補助療法の併用も考慮すべきであろう。