MM-CQ16
メラノーマ患者に術後補助療法としてDAVFeron療法を行うと生存率が改善するか
推奨度:B〜C1
推奨文:DAVFeron療法を術後補助療法として用いると、旧UICC分類の病期IIIのメラノーマ患者において生存率が改善する可能性がある。
解説:DAVFeron療法はDTIC/ACNU/VCRの3者併用化学療法にインターフェロンβ(IFN-β)の術創部への局注を加える治療法であり、本邦においてメラノーマの術後補助療法として頻用されている。この補助療法を旧UICC病期II,IIIの患者の根治術後に実施する多施設共同試験が本邦で施行され、DAVのみ投与された歴史対照に対し、旧UICC病期III(tumor thicknessが4mm超または所属リンパ節転移陽性)の患者において5年生存率の有意な改善がみられた(65.1%対46.2%; P<0.05)(1)。しかし、ランダム化比較試験は施行されておらず、エビデンスレベルからはC1の推奨度と判定される。ただし、局注されたIFN-βは、IFN-αとは異なり、主としてリンパ行性に所属リンパ節へ移行、集積するので、本補助療法が所属リンパ節転移やin-transit転移の抑制に役立つ可能性は考えられる(2)。事実、AJCC/UICC新病期分類IIC、IIIBの5年生存率は、本邦患者の方が欧米患者のそれよりも優れていると報告されている(3)。さらに、本邦での膨大な診療実績も考慮し、本ガイドライン委員会は本療法の推奨度をB〜C1とした。なお、まれながらDAVFeron療法施行後に白血病やmyelodysplastic syndrome(MDS)などを生じることがあり、化学療法に起因する二次発癌と考えられるので、高齢者等においては適用を慎重に考慮する必要がある。本術後補助療法施行後に、月1回程度の頻度でIFN-βの局注を続ける維持療法も報告されているが(フェロン維持療法)、その有用性は確証されていない。