解説:メラノーマの血清腫瘍マーカーとしては、各種のサイトカインおよびその受容体、細胞接着分子, S100 蛋白melanoma inhibitory activity(MIA)、neuron-specific enolase(NSE)、メラニン代謝産物である5-S-cysteinyldopa(5-S-CD)、6-hydroxy-5-methoxyindole-2-carboxylic acid (6-H-5-MI-2CA)などが知られているが、これらは一般に進行期の患者血清でのみ異常値を示し、早期診断には役立たない(
1)。ただし最近、Stage 0-IIの早期メラノーマの約2/3において、血清のglypican-3 (GPC3)またはsecreted protein acidic and rich in cysteine (SPARC)のいずれかの値が異常高値を示すことが報告されており、注目される(
2)。しかし、この報告は単一施設における限られた症例数での解析成績であり、その早期診断における有用性についてはさらなる検証が必要であろう。
以上より、現時点では血清腫瘍マーカーの早期診断への適応は推奨されない。なお最近、ダーモスコピーというメラノーマの早期診断に役立つ簡便な診断法が開発されている。