MM-CQ6
高周波エコーやMRIを実施するとメラノーマ原発巣のtumor thicknessの術前評価に役立つか
推奨度:C1
推奨文:高周波エコーやMRIを用いるとメラノーマのtumor thicknessを術前にある程度正確に予測することができるので、生検を行わずに切除範囲を決定し、またセンチネルリンパ節生検の適応を評価するのに役立つ。ただし、これらの検査法の誤差も踏まえ、慎重に適用することが望ましい。
解説:機器を用いて術前にtumor thickness(メラノーマ原発巣の厚さ)を評価することは,生検を行うことなしにT分類を予測できる点で意義がある。高周波エコーを用いたtumor thicknessの評価については,術前の高周波エコーでの測定値と実際の標本上でのそれとの相関係数を算出し、相関係数が高値(r=0.938)であったとする報告がみられる(1,2)。高周波エコーでは,腫瘍部分が低エコー領域として描出され、その幅を画像上で測定する。その際に下床のリンパ球浸潤などの存在により過剰評価が生じ,逆に腫瘍がくさび状に侵入するような場合には 過小評価が起こる。プローブの重さの圧によって薄く測定されることもある(1)。また、標本の切り出し面と同一の位置で測定されるとは限らないことから生じる誤差もある。高周波エコーなどで測定したin vivoでのtumor thicknessによって組織学的なtumor thicknessを代用してよいかが問題になる。皮膚病変を切除すると、in vivoで皮膚にかかっていた緊張が解除されて一旦、組織は厚くなるが,その後の標本作成過程で収縮が起こるので、最終的には両者の誤差はほぼ相殺されるとみなされている(3)。
  MRIによるtumor thicknessの評価については,2mm以下の薄い病変では描出の誤差が大きくなって役立たない。tumor thicknessが2mm以上の場合には有用だが、やはり条件による描出像の変化や組織切り出し面との不一致による誤差などは生じる(4)。tumor thicknessが2mm以下の場合は、高周波エコーの方がMRIよりも描出力において勝っている(5)。