メラノーマのTNM分類・病期分類

1)メラノーマ(悪性黒色腫)のTNM分類(UICC/AJCC, 2002)

pT分類 原発腫瘍の評価
pTX 原発腫瘍の評価が不可能(部分生検や退縮したメラノーマなど)
pT0 原発腫瘍が認められない
pTis 上皮内黒色腫(Melanoma in situ
pT1
 pT1a
 pT1b
厚さ#が1mm以下のメラノーマ
  T1でClarkレベルIIまたはIII、かつ潰瘍なし
  T1でClarkレベルIVまたはV、あるいは潰瘍あり
pT2
 pT2a
 pT2b
厚さが1mmを超え、2mm以下のメラノーマ
  T2で潰瘍なし
  T2で潰瘍あり
pT3
 pT3a
 pT3b
厚さが2mmを超え、4mm以下のメラノーマ
  T3で潰瘍なし
  T3で潰瘍あり
pT4
 pT4a
 pT4b
厚さが4mmを超えるメラノーマ
  T4で潰瘍なし
  T4で潰瘍あり
N分類 所属リンパ節の評価
NX 所属リンパ節の評価が不可能
N0 所属リンパ節に転移を認めない
N1
 N1a
 N1b
1個の所属リンパ節転移を認める
  臨床的に潜在性の(顕微鏡的*)転移
  臨床的に明確な(肉眼的)転移
N2

 N2a
 N2b
 N2c
2個または3個の所属リンパ節転移を認めるか、
リンパ節転移を伴わず所属部位のリンパ管内に限局した転移
  臨床的に潜在性の(顕微鏡的*)転移
  臨床的に明確な(肉眼的)転移
  リンパ節転移を伴わない衛星病巣もしくはin-transit転移**
N3 4個以上の所属リンパ節転移、または互いに癒着したリンパ節転移、または所属リンパ節転移を伴うin-transit転移もしくは衛星病巣、のいずれか
M分類 遠隔転移の評価
MX 遠隔転移の評価が不可能
M0 遠隔転移を認めない
M1
 M1a
 M1b
 M1c
遠隔転移あり
  皮膚、皮下組織または遠隔リンパ節への転移
  肺転移
  他のすべての内臓転移、または血清LDH高値を伴う遠隔転移
tumor thickness (Breslow):表皮顆粒層から最深部の腫瘍細胞までの垂直距離で、顕微鏡にて計測する。
顕微鏡的転移巣はセンチネルリンパ節生検または予防的リンパ節郭清によって診断する。
肉眼的リンパ節転移とは、臨床的に検出され、根治的リンパ節郭清によって確認されたリンパ節転移、または著しいリンパ節被膜外進展を呈するリンパ節転移と定義される。
** 衛星病巣とは、原発巣から2cm以内に存在する腫瘍巣または腫瘍結節(肉眼的または顕微鏡的)をいう。in-transit転移とは、原発巣から2cmを超えて、所属リンパ節までの間に存在する皮内または皮下の転移巣をいう。

2)メラノーマ(悪性黒色腫)の病期分類(UICC/AJCC, 2002)

病期 臨床病期分類* 病理病期分類
pT N M pT N M
 0 pTis N0 M0 pTis N0 M0
 IA
 IB
 
pT1a
pT1b
pT2a
N0
N0
N0
M0
M0
M0
pT1a
pT1b
pT2a
N0
N0
N0
M0
M0
M0
 IIA
 
 IIB
 
 IIC
pT2b
pT3a
pT3b
pT4a
pT4b
N0
N0
N0
N0
N0
M0
M0
M0
M0
M0
pT2b
pT3a
pT3b
pT4a
pT4b
N0
N0
N0
N0
N0
M0
M0
M0
M0
M0
 III
 
 
 IIIA
 
 IIIB
 
 
 
 
 IIIC
 
 
Any pT
Any pT
Any pT
pT1a-4a
 
 
 
 
 
 
 
 
N1
N2
N3
 
 
 
 
 
 
 
 
 
M0
M0
M0
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
pT1a-4a

pT1b-4b
pT1b-4b
pT1a-4a
pT1a-4a
pT1a/b-4a/b
pT1b-4b
pT1b-4b
Any pT
 
 
 
N1a
N2a
N1a
N2a
N1b
N2b
N2c
N1b
N2b
N3
 
 
 
M0
M0
M0
M0
M0
M0
M0
M0
M0
M0
 IV AnyT AnyN M1 Any pT AnyN M1
臨床病期分類は原発巣の(顕微鏡による)pT分類と転移部位の臨床的・画像的評価から構成される。通常、原発巣を全摘した後、局所リンパ節転移および遠隔転移を臨床的に評価したうえで臨床病期が決定される。
病理病期分類は原発巣の(顕微鏡による)pT分類と所属リンパ節の摘出(センチネルリンパ節生検を含む)もしくはリンパ節郭清後に得られる病理組織学的情報によって決定される。ただし、病理病期が0期またはIA期の患者については、リンパ節の病理組織学的評価を必要としない。
臨床病期分類では病期IIIの亜病期分類は存在しない。