解説:乳房外パジェット病には外科療法を中心とした治療法が選択される(
1,
2)。しかし、手術後の再発例、切除不能例、機能や整容面を考慮した場合に切除が望ましくない症例などでは放射線療法が選択されることがある(
2,
3)。これまでの多くの報告は、症例報告や少数例の症例を集めた後ろ向き解析が中心であり、治療法としての有益性を評価するのは困難だが、根治的放射線療法により20〜94%の症例で治癒が期待できるという報告がある(
1)。しかし、浸潤癌の段階の乳房外パジェット病に対する放射線療法の治癒率は約20%と不良であり、一部の症例では化学療法との併用なども試みられているが、その有益性は明らかではない(
1,
4,
5,
6,
7,
8)。
乳房外パジェット病の遠隔転移を有する症例のみを対象に放射線療法の意義を検討した報告はなく、放射線療法が生存率に与える影響を明らかにすることはできない。しかし、他の癌種と同様に、疼痛や神経症状などの改善を目的とした姑息的放射線療法を行うことは意義あることといえる。