Paget-CQ2
乳房外パジェット病とパジェット現象の鑑別に免疫組織化学的検索は有益か
推奨度:B
推奨文:皮膚原発の乳房外パジェット病と内臓癌のパジェット現象の鑑別にサイトケラチン20とGCDFP15の免疫組織化学的検索が有益である。
解説:GCDFP15は正常組織では免疫組織化学的に汗腺・乳腺・唾液腺に陽性だが、消化管は陰性とされている(1)。当初、アポクリン腺に特異的なマーカーとされていたが、その後、エクリン腺も陽性であることが明らかにされ(2)、アポクリン腺癌などの汗腺系腫瘍や乳癌が陽性反応を呈し、消化管腺癌は陰性とされている(1)。サイトケラチン20(CK20)は正常組織では免疫組織化学的に消化管上皮、膀胱上皮、メルケル細胞に陽性で、これらの系統の腫瘍である消化管腺癌・膀胱移行上皮癌・メルケル細胞癌も陽性であることが知られている(3)。
  免疫組織化学的に皮膚原発の乳房外パジェット病はGCDFP15陽性(2)、CK20陰性(4,5)(GCDFP15+/CK20-)であることが知られている。直腸癌は肛門周囲にパジェット現象を伴うことがあるが、この場合、GCDFP15-/CK20+である(4,6)。膀胱移行上皮癌も外尿道口から外陰部にパジェット現象を伴うことが知られているが、この場合もGCDFP15-/CK20+である(5,7)。したがって、GCDFP15とCK20の免疫組織化学的検索は乳房外パジェット病とパジェット現象の鑑別に役立つ。しかしながら、これらの免疫染色所見の真の精度は不明であり、例外的に肛囲パジェット病においてGCDFP15-/CK20+となることや(4)、外陰部乳房外パジェット病においてGCDFP15+/CK20+となるとの報告もあるので(5)、注意を要する。