Paget-CQ3
肉眼的境界が不明確な乳房外パジェット病の原発巣にmapping biopsyを行うことは有益か
推奨度:B
推奨文:乳房外パジェット病に対しmapping biopsyを施行すると局所再発率が低下するとの明確な根拠はないが、肉眼的境界が不明瞭な病変ではmapping biopsyを行うことが推奨される。
解説:乳房外パジェット病は一般的に局所再発率が高いとされている(1)。その理由として、部位的特殊性による生理的色素沈着により腫瘍の境界がわかりにくいこと(2)、多中心性に病巣が存在する傾向があること(3)、一見正常にみえる周辺部分にも組織学的にパジェット細胞が存在していること(3)等が挙げられる。また、外陰部や肛門周囲という部位的特殊性から湿疹化、感染、湿潤化などによる二次的修飾をうけやすく、腫瘍の肉眼的境界の判定が難しくなる。この場合、適切な外用処置を行うことが大切であり、これによって二次的修飾が消失し、肉眼的境界が明確になることが多い(2)。
 しかし、上述の処置によっても境界が明瞭化しない場合には、mapping biopsy(病巣周囲を複数箇所、小さな円筒状のメスで生検し、癌細胞の有無を検索する方法)を行って、切除マージン(皮膚の切開線)を設定することがある。また、女性外陰部や肛門周囲発症例の粘膜側などについては肉眼的な判断が難しいので積極的にmapping biopsyを行うことが多い。