推奨文:乳房外パジェット病にセンチネルリンパ節生検を行い、その結果に応じて郭清の適応を決定すると予後が改善するという証拠はない。ただし、リンパ節転移の有無は重要な予後因子であるので、その判定のために行うという考え方はある。
解説:乳癌やメラノーマではセンチネルリンパ節生検の実施が一般化しつつあるが(
1)、生存率改善への寄与については結論が得られていない。
乳房外パジェット病におけるセンチネルリンパ節生検については、少数の症例集積研究と症例報告がみられるのみである。従って、本法が乳房外パジェット病患者の予後を改善するという証拠は存在しない。
しかし、乳房外パジェット病においてリンパ節転移の有無は重要な予後因子であり、その組織学的確認は治療方針決定の上で重要である。乳房外パジェット病を含む外陰癌にリンパ節マッピングを行った報告は複数あり、色素あるいは色素とアイソトープとの併用でセンチネルリンパ節が正確に同定されることが示されている
(
2,
3,
4,
5,
6)。ただし、転移によるリンパ管の閉塞などの要因でセンチネルリンパ節が正確に同定できないこともある(
7)。一般にセンチネルリンパ節に転移がみられなければ、その他の所属リンパ節も転移陰性であるので、予防的リンパ節郭清は不要になる。
以上、センチネルリンパ節生検が予後に与える影響は不明であるが、真皮内浸潤を認める乳房外パジェット病に対し、所属リンパ節への顕微鏡的転移の有無を知るためにセンチネルリンパ節生検を行うことは考えてもよい。