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Paget-CQ8
乳房外パジェット病に予防的リンパ節郭清を行うと生存率は改善するか
推奨文:予防的リンパ節郭清が乳房外パジェット病の生存率を改善するというデータはない。とくに、表皮内に限局した乳房外パジェット病には予防的リンパ節郭清は勧められない。
解説:リンパ節転移陽性の乳房外パジェット病は予後が不良であり、本邦ではリンパ節転移が疑われる乳房外パジェット病に予防的リンパ節郭清が行われることがある( 1)。
しかし、乳房外パジェット病における予防的リンパ節郭清の有益性に関しては、その施行の有無による生存率の差異を比較したランダム化または非ランダム化比較試験は全く存在しない。わが国の限られた数の後ろ向き研究および症例集積の経験から、原発が浸潤癌でリンパ節腫脹のある例に郭清を勧める報告がみられるが( 2, 3)、予後に及ぼす影響には言及されていない。山田らはリンパ節腫脹がみられた症例のうち組織学的に転移が検出されたのは48%に過ぎなかったことから、センチネルリンパ節生検を行い転移の有無を確認することを推奨している( 4)。とくに、腫瘍細胞が表皮内に限局した乳房外パジェット病は、リンパ節転移を生じることはないので( 5)、予防的リンパ節郭清は勧められない。
文献
1. 上田英一郎, 森島陽一, 永田誠. 京都府立医科大学皮膚科における最近10年間(1982〜1991)のPaget病の統計的観察. 西日本皮膚科. 1996;58:116-20( レベルIV)
2. 大原国章, 大西泰彦, 川端康浩. 乳房外Paget病の診断と治療. Skin Cancer. 1993;8(Special Issue):187-208( レベルIV)
3. 菊池英維, 津守伸一郎, 黒川基樹, 他. 宮崎大学医学部皮膚科学教室開講以来27年間に経験した乳房外Paget病58例の統計. 西日本皮膚科. 2005;67:387-91( レベルIV)
4. 山田瑞貴, 藤本晃英, 竹原和彦, 他. 金沢大学皮膚科における最近16年間の乳房外Paget病の統計. Skin Cancer 2006;20:311-7( レベルIV)
5. 町田秀樹, 中西幸浩, 山本明史, 他. 乳房外Paget病患者45人の臨床病理学的検討. Skin Cancer 2001;16:114-9( レベルIV)
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