推奨文:センチネルリンパ節生検によって有棘細胞癌患者の生存率が向上するという高い水準の根拠は存在しない。ただし、本腫瘍の転移ルートは主としてリンパ行性であるので、症例によってはセンチネルリンパ節生検を考慮してもよい。
解説:有棘細胞癌(SCC)に対するセンチネルリンパ節生検の意義については、欧米において小規模な実行可能性研究が実施され、その妥当性が論じられてはいるものの(
1,
2,
3,
4)、ガイドラインやレビューの中で、本法を実施することにより生存率が上昇するか否かについて言及しているものはない(
5)。
わが国においても、全身各所のSCC 8例中1例、また9例中1例にセンチネルリンパ節のみに転移を認めたという症例報告があるにすぎない(
6)。
以上より、現時点ではSCCに対するセンチネルリンパ節生検の臨床的意義は不明であり、これを実施することで生存率が向上するというエビデンスは存在しない。ただし、SCCは転移ルートが主としてリンパ行性であるので、ハイリスク症例等に対しては、センチネルリンパ節生検の実施を考慮してもよい。本法の臨床的意義に関しては、症例を集積して科学的に十分な精度で評価を行う必要がある。