理事長からのメッセージ
医学生・研修医の皆様へ
皆さんは、皮膚科にどのようなイメージをお持ちでしょうか。「皮膚」という臓器は、一見表面的でシンプルに思えるかもしれません。しかし、実際には皮膚の構造や機能は精密に制御された精密機器のような臓器であり、この制御に破綻や異常が生じると、皮膚病として現れます。また、「皮膚は全身の鏡」と言われる通り、皮膚は全身の様々な変化も反映し、皮膚から様々な疾患を読み解くこともできます。そのアプローチは多彩であり、皮膚病の診断はあたかも推理小説のようでもあります。
皮膚科の魅力はその多様性にあります。まず、年齢を問わず、小児から高齢者まで幅広い患者層を診ることができる点が魅力です。扱う疾患も、遺伝病、感染症、アレルギー・免疫疾患、膠原病、さらには皮膚がんまで、さまざまな領域があり、自分に適したサブスペシャリティを選ぶこともできます。手術をはじめとする外科的治療と内科的治療の双方の技術を自ら駆使し、また自ら病理医となって病理診断も下します。このように、診断から治療まで一貫して自分の手で患者さんに向き合える点も、皮膚科の大きな魅力です。
皮膚科のもう一つの魅力は、診断と治療の効果を「目で見ることができる」点です。皮膚科は研究が盛んな診療科でもあり、ダイナミックに変革を続けています。分子レベルや一細胞レベルでの解析などの進歩により、最新の生物学的製剤や分子標的治療が次々と導入されて、これまで治療が困難だった疾患にも新たな治療法が開発されています。診断に基づいて治療を行い、目に見える効果を患者さんと共有する瞬間は、非常にやりがいを感じる瞬間です。
さらに、皮膚科はワークライフバランスを大切にしながらキャリアを築いていける診療科でもあります。実際、日本皮膚科学会の新入会員の半数以上が女性であり、女性医師への支援体制も整っています。多様な働き方や専門性の追求をしながら、長く現役で活躍できる環境が整っています。
皮膚科は、皆さんが持つ個性や専門性を存分に活かせる診療科です。今後の医療を担う皆さんが、皮膚科の世界に足を踏み入れ、私たちと共に進化し続ける皮膚科学をさらに発展させていく日を心待ちにしています。