MM-CQ24
メラノーマ患者に対して転移・再発発見のための患者教育を行うと生存率が改善するか
推奨度:B
推奨文:メラノーマ原発巣の術後、患者が自分の皮膚の定期的自己検査(self skin examination; SSE)を行うと生存率が改善する可能性がある。
解説:メラノーマ患者に教育を行う主目的は、再発・転移の早期発見である。再発・転移は、患者もしくは医師による視診・触診で発見されることが最も多い(1,2,3,4)。Shumateらは術後、定期的に経過観察している患者において、再発・転移を患者自身が発見した場合と医師が発見した場合の予後の差について検討し、無病生存期間および全生存期間に有意差はみられなかったと報告している(5)。
 BerwickらがSSEの有用性を検討したところ(6)、メラノーマによる死亡に対する修正オッズ比が、原発巣の術後に定期的なSSEを行った群では行わなかった群に対して0.37(95%信頼区間 0.16-0.84)であった。この結果はSSEによって原発巣術後のメラノーマ患者の予後が改善される可能性を示している。
 欧米におけるSSEは、鏡などを使用して全身の皮膚表面を観察し、原発部位から所属リンパ節のみでなく、全身の皮膚を触って、リンパ節の腫脹や結節の有無を検索するものである。日本においても術後患者に対して適切なSSEを指導することが望まれる。