推奨文:転移の症候のないメラノーマ患者に対し、リンパ節転移、遠隔転移を発見する目的で、胸部X線、CT、PETを一律的に実施することは推奨されない。所属リンパ節転移、遠隔転移をきたす危険性を評価したうえで、必要とみなされた場合に各検査を実施する。なお、超音波検査は所属リンパ節転移の検出能に優れている。
解説:胸部X線検査は偽陽性が多く、真の肺転移が検出される確率は0.1%と報告されており、tumor thickness 4.0mm以下の患者に肺転移を検出するための一律的な検査としては推奨できない(
1)。ただし、胸部X線検査は全身麻酔の術前検査として実施される。超音波検査はメタアナリシスにおいて、触診よりもリンパ節転移の検出能が優れていることが示されている(
2)。触診と超音波検査を組み合わせるとPETよりも臨床的リンパ節転移の検出率が高まるという報告がある(
3)。
CTについては、センチネルリンパ節に少なくとも1個の転移がある無症状の患者に全身のCT検査を施行したところ、遠隔転移を発見できる確率は0.7%であったという(
4,
5)。したがって、CTを術前の一律的検査として行うことは推奨されない。PET(positron emission tomography)は、センチネルリンパ節転移の検出力は低いが(感度11〜13%)(
6,
7)、病期が進んだ症例における潜在的転移巣の検出能力では優れている(
8)。PET/CTの組み合わせ検査は遠隔転移の検出能力に優れているので、N病期、M病期判定への応用が期待される(
9)。