Q8紫外線で起こる皮膚ガンにはどんなものがありますか?
皮膚にできるガンには多くの種類があります。皮膚ガンのすべてが紫外線によって起こるわけではありませんが、顔や手の甲など長年にわたり日光を浴び続けた場所に出るガンとして日光角化症、有棘細胞癌、基底細胞ガン、メラノーマがあります。
日光角化症は60-70歳代から多くなります。皮膚の表面がカサカサして、赤みを帯び、触るとざらざらしていて、角質が尖っているため指先にちくっとしたものを感じます。

日光角化症は未だ皮膚の一番表面にある表皮の中に留まっているガンで、表皮内ガンと呼ばれます。この時点で転移することはありませんので、きちんと治療すれば生命には問題ありません。ただし、気づかず放っておくと表面が盛り上がってくると同時に皮膚の奥深くまで侵入し、身体全体にも転移する有棘細胞ガンに進展します。有棘細胞癌は大きなしこりとなり、中央部がえぐれて出血したり、悪臭を放ちます。

基底細胞ガンは皮膚の破壊性が強いものの、身体の他の場所に転移はせず生命には関わらない腫瘍です。特に顔に好発します。基底細胞癌は30-40歳代から見られますが、年齢が高くなるに連れて頻度は高くなります。真っ黒で真珠様の光沢を持った小さなしこりがゆっくり何年もかかって大きくなり、次第に真ん中がえぐれて潰瘍になり、出血します。
痛みなど自覚症状はほとんどありません。

ホクロのガンといわれるメラノーマは転移が早く、皮膚ガンの中でも最も怖れられているガンですが、幸い日本人では紫外線によって起こるメラノーマは多くありません。
なお日本人では紫外線とは無関係に、足にできるメラノーマが多いので注意を要します。

紫外線によって起こる皮膚ガンはいずれも高齢になってから出てきます。これからの高齢化社会でますますその頻度が高くなることが懸念されます。若いうちから余分な紫外線を浴びない工夫が必要です。
治療は癌の種類によって違います。いずれのガンでも手術で切り取るのが最も確実ですが、日光角化症では抗癌剤を塗ったり、炭酸ガスレーザーや液体窒素で治療することも行われます。高齢の方が多いので、手術に伴うリスクや、その後の生活の質も考えた治療法を選択します。