Q3デスモグレインとは何ですか。
天疱瘡の患者に認められるIgG自己抗体は、デスモグレイン1(Dsg1)か、デスモグレイン3(Dsg3)を攻撃します(図1)。デスモグレインは、表皮細胞と表皮細胞がお互いにくっつく(接着する)のに重要な役割をしている蛋白です。デスモゾームという接着装置にある膜蛋白です。天疱瘡の自己抗体は、デスモグレインに結合し攻撃することで、デスモグレインの接着する働きを阻害します。その結果、表皮細胞と表皮細胞がばらばらになり、表皮の中で水疱が生じます(図2)。
デスモグレイン1は、主に皮膚にあります。デスモグレイン3は、主に粘膜(口腔、食道など)にあり、少しだけ皮膚にもあります。攻撃されるデスモグレイン1、3のある場所が違うため、尋常性天疱瘡と落葉状天疱瘡の症状に違いができます。
デスモグレインの分子構造。細胞膜を一回通過する膜蛋白で、細胞外にある領域には、特徴的なカドヘリンリピートと呼ばれる110アミノ酸程度の配列を繰り返し持っている。

Dsg1によって接着している表皮細胞に、抗Dsg1抗体が攻撃すると、Dsg1の接着機能を阻害して、細胞はばらばらになり、水疱となる。
