Q2肥厚性瘢痕やケロイドはなぜ起こるのでしょう?
ケロイドおよび肥厚性瘢痕は、傷が治る過程でコラーゲンなどの皮膚の構成成分が過剰に産生されてしまうことで、もともと創の部位が盛り上がったり、拡大したりすることで出来る病変です。
そもそも皮膚に生じた創が治るメカニズムは大きく分けて①血液凝固期②炎症期③(細胞)増殖期④再構築期(成熟期)の4期に分けられます。これは擦傷が治る過程を考えれば容易に理解でき、傷が出来ると出血した後に血が固まる(①血液凝固期)、創とその周囲が赤くなる(②炎症期)、傷がだんだん浅くなる(③増殖期)、傷は皮膚で覆われ治ったあと若干盛り上がる(④再構築期)という流れは誰でも経験するところでしょう。正常な場合、これら4期は極めてスムーズに進行することで傷は奇麗に治りますが、④再構築期が上手く進まないと、肥厚性瘢痕やケロイドが生じます。
④再構築期は、傷が治る過程の最終段階であり、この時期は時に年余にわたって続くこともあります。創口が表皮と呼ばれる表面皮膚で覆われ治癒したと思っても、その内側の真皮と呼ばれる部分では、コラーゲンを代表とする様々な成分が分解生成を繰り返し(これを再構築と呼びます)創部はより強固となり成熟した創へと変化します。この際、様々な要因で真皮成分が過剰に産生されることで肥厚性瘢痕やケロイドが生じます(図2)。真皮成分の過剰な産生に関わる要因としては、外傷や熱傷、手術による刺激、細菌感染や異物への反応、炎症性の疾患、創周囲の皮膚にかかる力などがあり、特に皮膚にかかる力は最も大きな要因とされています。
1)皮膚に生じた創
2)表皮が創面を多い治癒する
3)治癒した後も真皮においてコラーゲンなどの分解産生が繰り返され再構築が進む
4)創痕の範囲で皮膚が盛り上がり肥厚性瘢痕を形成する
5)さらに傷痕を超えて皮膚が盛り上がりケロイドとなる
