Q3原因はなんですか?
皮膚は最も表層から順に、表皮、真皮、皮下組織から構成されています。水疱性類天疱瘡は、わたしたちの皮膚を作る表皮と真皮の境にある基底膜に存在する接着因子であるヘミデスモソームの構成タンパクであるBP180とBP230に対する抗体ができることによっておきる病気です。IgG自己抗体がこれらの類天疱瘡抗原に結合して、皮膚を傷害し、水疱を形成します。病気の勢いは、水疱の個数や血液中の抗体価(抗体の量)を参考にして決定します。疫学調査では、2型糖尿病治療薬である「DPP-4阻害薬」という種類の薬剤を服用している糖尿病患者さんで水疱性類天疱瘡の発症頻度が比較的高いことがわかっていますが、詳細な因果関係は不明です。また、免疫チェックポイント阻害薬の治療を受けているがん患者さんでも水疱性類天疱瘡の発症頻度が比較的高いことがわかってきています。
粘膜類天疱瘡も自己抗体によって引き起こされますが、様々なヘミデスモソーム構成タンパクや基底膜タンパクが自己抗体の標的になります。BP180やラミニン332に対する自己抗体が検出されることが多いですが、その他にBP230や7型コラーゲン、α6β4インテグリンなどが標的になることもあります。
後天性表皮水疱症も自己抗体によって引き起こされ、自己抗体の標的は真皮の係留線維という組織を構成する7型コラーゲンです。