Q3マダニ類に刺されたらどうすればよいですか?
マダニに刺された部位は、痛みやかゆみなどの自覚症状がないことが多く、虫体が吸血して、かなり大きくなってからようやく気付く例が多いようです(資料3)。しかし、時にはかゆみや違和感を覚えることもあります。また、刺された部位に赤みが出ることもあります。
マダニ類のごく一部は、感染症の原因となる病原体を保有していることがありますが、実際にはその可能性は低いので過剰な心配は不要です。しかし吸着したマダニは早めに除去することが望ましいでしょう。マダニに吸着されてからの時間が短いほど、除去は容易です。吸着後、早期であれば、先の尖ったピンセットなどでマダニの口器の部分を摘んで、ゆっくり引き抜くことによって、うまく除去できる場合が多いです(資料4)。吸着したマダニの腹部を指で摘まむと、マダニの体液成分が皮膚内に流入しやすくなるので、避けるべきです。
吸着して3日以上が経過すると、マダニの口器が皮膚組織と固く接着しているため、除去が困難になります。その場合、無理に引っ張ると、皮膚内に口器がちぎれて残ります。そのため、チクチクした違和感が残る場合や、その後に硬いしこりを生じる場合もあります。
マダニ虫体の除去が困難と判断された場合は、局所麻酔をして、皮膚ごと切除する必要がありますので、皮膚科を受診してください。切除以外の方法としては、イヌやネコなどのペットに吸着したマダニの除去に用いられるマダニ除去器具を利用する方法もありますが、これらは決して医療用器具ではありませんので、使う人の自己責任で用いる必要があります。
なお、自分でマダニを除去した場合、その虫体を捨てずに保管しておくと、その後に何らかの病気が発症した場合の重要な試料になります。医療機関を受診する際に持参するとよいでしょう。

