Q6つつが虫病とはどんな病気ですか?
この疾患は感染症法では「つつが虫病」と表現されますが、一般に「ツツガムシ病」とも表現されます。これは、山裾や田畑、河川敷などに生息するツツガムシというダニ類の幼虫の体内にオリエンチア・ツツガムシというリケッチアを保有している場合に、それに吸着されることで感染するリケッチア感染症です。つつが虫病を媒介するツツガムシ(資料6)は数種類が知られていますが、成虫は土中で生活し、皮膚には吸着しません。また、幼虫は体長約0.3mmという小さいダニですので、吸着されてもほとんど気付きません。
戦前は北陸~東北の限られた地域で夏に発生する風土病(古典的つつが虫病)として恐れられていましたが、戦後はそのタイプは激減しています。近年では北海道を除く全国各地で晩秋から早春に見られる新型つつが虫病が多く、年間400~500例が発生しています。
つつが虫病は病原体リケッチアを保有したツツガムシに吸着された後、5~14日間の潜伏期間を経て、まず39~40℃の高熱が出ます。全身倦怠感や頭痛、筋肉痛、関節痛なども伴います。その2~3日後には全身にかゆみのない赤い発疹が現れます。また、全身のリンパ節腫脹も認められます。そして、脇の周囲や下腹部、太ももの内側など、主に衣類に被われた部位に1か所の黒いかさぶたを付けた赤みが認められ、「刺し口」と呼ばれます(資料7)。この時点でツツガムシの幼虫はすでに脱落しているので、この刺し口の皮疹部には虫体は認められません。これらの症状(高熱、発疹、刺し口)は日本紅斑熱とよく似ていますので、区別が難しい場合があります。
治療としてはテトラサイクリン系の抗菌薬が有効ですが、治療が遅れると重症化することがあります。