Q8重症熱性血小板減少症候群とはどんな病気ですか?
重症熱性血小板減少症候群はマダニが媒介するウイルス感染症で、2009年に中国で発見されました。日本では2013年に初めて確認されましたが、2014年以降、毎年60~100例が報告されています。マダニの活動が活発になる4~10月に発症することが多く、フタトゲチマダニ、タカサゴキララマダニなどがこの疾患を媒介するとされていますが、マダニの病原体ウイルス保有率はきわめて低く、実際の感染リスクは非常に低いと考えられます。また、マダニ以外にネコなどの動物を介して感染することもあります。
患者発生地はおもに近畿~北陸地方より西の地域で、野生動物が出没するような山間部であることが多いようですが、今後は西日本だけでなく東日本でも発生する可能性があります。
潜伏期は6~14日間で、38℃以上の高熱、腹痛、嘔吐、下痢などの胃腸症状、頭痛、筋肉痛などが出現します。血液検査では血小板や白血球が減少し、肝機能障害なども生じます。通常、特別な皮膚症状は出現しません。皮膚にマダニの吸着が確認された例もありますが、確認できない例もあり、刺し口の皮疹も明確ではありません。
現在のところ、有効な治療法はないため、輸液などの対症療法を行うしかありません。症例によっては意識障害、出血症状などが急速に進み、特に高齢者では重症化して多臓器不全で亡くなる場合もあります。