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ダニ類による感染症

Q5日本紅斑熱とはどんな病気ですか?

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 日本紅斑熱はマダニが保有している、リケッチア・ジャポニカという病原体によって起こるリケッチア感染症です。関東地方より西の地域で多く発生しており、年間で約300例が報告されています。
 症状としては、病原体リケッチアを保有しているマダニに刺されて2日から8日くらいの間に高熱が出て、全身にかゆみのない赤い発疹が現れます。この発疹は体幹から四肢に分布しており、手掌や足底にも認められます。そして、マダニに吸血された皮膚には、黒い小さなカサブタが付いた赤みが認められ、「刺し口」と呼ばれています。この時点でマダニはすでに脱落しているので、刺し口には虫体は認められません。刺し口は脇の周囲、下腹部や太ももの内側など、おもに衣類に被われた柔らかい部位に見つかることが多く、日本紅斑熱を疑う重要な症状です。このように、高熱・発疹・刺し口が日本紅斑熱のおもな特徴です(資料5)。
 ただし、日本紅斑熱の患者さんのほとんどは、マダニに刺されたという自覚がありませんので、病歴や臨床像から、まずはこの病気を疑うことが重要です。また、高熱と発疹を認める疾患はほかにもたくさんありますので、慎重に鑑別する必要があります。
 治療としてはテトラサイクリン系の抗菌薬が効きますので、適切に診断し、治療すれば治ります。しかし時には血小板が低下したり臓器障害が進行したりして重症化する例もあるので注意が必要です。

資料5:A 日本紅斑熱の発疹
B 日本紅斑熱の刺し口
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