ガイドライン・指針
ロドデノール含有化粧品について(ロドデノール誘発性脱色素斑)
日本皮膚科学会は2013年7月17日にロドデノール(以下、RD)含有化粧品の安全性に関する特別委員会(以下、特別委員会)を設置し、RD誘発性脱色素斑の患者さんと医師への正しい情報の迅速な提供を目的に症例の疫学調査と原因調査、発生機序の解明を行い活動してきました。
特別委員会は、「正しい情報は、まず患者さんと皮膚科医へ」の方針のもと、患者さんには「患者さん向けFAQ」、診療にあたる皮膚科医へは「医療者向け診療の手引き」で情報提供し、(1)一次全国疫学調査、(2)パッチテスト試薬の調整と配布、(3)特別委員会施設内二次調査、(4)二次全国疫学調査、(5)三次全国疫学調査(紫外線治療についての詳細調査、特別委員会施設での医師と患者さんへのアンケート調査を含む)、(6)治療のための発生機序の解明を行いました。
それらの成果を踏まえ、2015年5月31日、第114回日本皮膚科学会総会にて日本皮膚科学会と日本アレルギー学会共催市民公開講座「化粧品を安全に使うには〜2つの化粧品健康被害から学んだこと〜」が開催され、その第二部に「RD誘発性脱色素斑から学んだこと」と題して市民の方に特別委員会活動の成果をお話しし、特別委員会の活動を終了しました。
当日は用意した600部のテキストはすべてなくなり、630名余りの参加があり、質問も多く活気のある市民公開講座となりました。
【委員会を終わるにあたり】
三次調査の対象患者では、14%に尋常性白斑の合併があり、また、脱色素斑が回復傾向を示さない、あるいは悪化しているが16%ありました。今後は、治りにくい患者さんの治療、尋常性白斑の病態解明と治療方法の開発があらためて重要と考えます。RD誘発性脱色素斑の日本皮膚科学会としての調査研究は厚労省研究班に参加される石川治教授(群馬大)、片山一朗教授(大阪大)、鈴木民夫教授(山形大)に託されるほか、多くの研究が進行しており、その成果が期待されます。私もRD誘発性脱色素斑の予後と治療に関する研究を一研究者として続けていきます。FAQと診療の手引きは近く最後の改訂を行いホームページに掲載予定です。ここでは、市民公開講座の当日のテキストを掲載いたします。患者さんへ配布いただきご利用ください。また、2015年8月7日付け患者さん向けFAQの改訂を行いましたので、市民公開講座の当日のテキストと併せて掲載いたします。是非ともご覧ください。
会員のみなさまには、疫学調査ならびに診療にご協力いただきましたことを心より御礼申し上げます。
平成27年8月7日
ロドデノール含有化粧品の安全性に関する特別委員会
委員長 松永 佳世子