国際活動

留学体験レポート:Boston Children's Hospital - 眞井洋輔

2024年12月18日公開

留学先

2024年6月中旬に渡米し、同年7月からHarvard Medical Schoolの教育病院の一つであるBoston Children’s HospitalでResearch Fellowとして働き始めました。

留学の経緯

2020年に出た皮膚のオルガノイドの論文に感動し、大学院を卒業して少し落ち着いた2023年にポスドクとして雇って欲しいというメールをボスのカールに送りました。幸運なことに、2023年には東京でISIDが開催され、そこのシンポジウムにカールが参加していたため、直接会って話すことが出来ました。その後ボストンにあるラボへ見学に行き、自分の給与をある程度カバーする助成金を獲得することが出来たら雇っても良いと言われました。幸い、武田科学振興財団及び日本皮膚科学会などからの留学助成を得ることが出来、正式に留学することが決まりました。

留学先での仕事

ラボは皮膚オルガノイドと内耳オルガノイドを作成する研究室で、新しいオルガノイドを作成する研究がラボの主流です。内耳チームと皮膚チームに分かれていますが、病態生理学的な仕事をする人はおらず、皮膚科医どころか皮膚疾患に詳しい人は僕のみです。所属も耳鼻咽喉科及び神経科学分野で、周りの研究室も難聴の研究やアルツハイマーなどの神経系の研究をしており、皮膚研究からはやや遠いところにあります。自分は元々自己免疫性水疱症が専門であり、母校の北大から検体などを輸送し、表皮水疱症及び自己免疫性水疱症のモデルを皮膚のオルガノイドを用いて作成することがここのラボでのメインの仕事です。

楽しかったこと

同僚は本当にいい人たちばかりで、毎月のようにラボ内で行事があり、みんなでボーリングに行ったりハイキングに行ったりします。まだ来たばかりの自分の誕生日会も開いてくれて、バースデーカードまで貰うことが出来たのはとても感動しました。また、ボストン及び実際に住んでいるボストンの隣のブルックラインは非常に綺麗な街で、街の中を歩いて探索するだけでも楽しいです。日本にいる時よりも家族との時間を過ごすことができるようになり、毎週末車や列車を使ってビーチに行ったり観光地に行ったりしています。

大変だったこと

大変なことは数多くあります。一番の障壁は英語で、周りがネイティブの人たちばかりなので話について行くだけでも精一杯です。毎日英語の本を読み、通勤中はaudibleで英語の本を聴き、夜にはChatGPTと英会話をして、気長に英語が上手くなることを期待しています。研究自体もスムーズに進んでいるわけではなく、様々な実験系をpaper work含めて新たに立ち上げなくてはならず、こちらのpaper workの遅さに愕然としております。Lentivirusを使用するためにprotocolをupdateしていますが、既に1ヶ月以上経ってもまだ改訂が完了せず、北大から検体を輸送するMTAに関しては既に半年以上待たされています。家族にも言葉も通じない土地に来て多大な迷惑をかけており、また4人家族でアメリカの物価が高いエリアに住むのは経済的に非常に辛いものがあります。

これから留学を考えている先生へ

日本にいた時とは全く違う生活になり、毎日が刺激的です。苦労も多いですが、この年で新たに成長出来る機会だと考えると非常に貴重なのではと思います。研究の広がり方も研究者同士の繋がり方も日本にいた時とは違った景色が見え、研究者としての考え方も変わります。是非皆さんも留学して多くのことを学びましょう!

留学体験レポート一覧へ戻る

このページの先頭へ
Copyright © 日本皮膚科学会 All Rights Reserved.