国際活動
留学体験レポート:UMass Chan Medical School - 岡村賢
2024年12月18日公開
留学先と留学期間
UMass Chan Medical School, Worcester, MA, USAへ2019年9月(卒後10年目)から2021年12月までの間、現皮膚科学教授のJohn E. Harris先生のラボにポスドクとして留学させて頂きました。
留学の経緯
山形大学皮膚科教授である鈴木先生がHarris先生と国際学会でお会いされたときに、私を推薦して頂いたのがきっかけです。その後、SID/JSID Young Collegiality Awardを頂いてHarris先生のラボに見学(実際はinterviewでしたが…)させて頂きました。しかしその後1年半音沙汰がなく、ダメか(面接落ち?)、と思っていました。その矢先、2018年のクリスマスイブにHarris先生よりemailにて「ポスドクの給与を払えるグラントを取れたので来ていいよ」とメッセージを頂きました。まさに大人のクリスマスプレゼントでした。

UMass前の湖畔にて
当時留学していた慶應の福田さんと一緒に

Harrisサンタ
留学先での仕事
留学前はgenetics関連の研究をメインにしており、留学先でも白斑の感受性遺伝子多型の機能解析を主にやっていました。その他、産科病棟に毎週お邪魔して新生児包皮をひたすら集め、Melanocyte, Keratinocyte, Fibroblastの初代培養を大量に行い、genotyping, 遺伝子発現解析、エピジェネティクス解析を統合してデータベース作りをしたり、福田さんのメラノーマの研究のお手伝い、その先の研究に携わったりさせて頂きました。どれもchallengingな仕事で、大変なことも多かったですが、この経験が今に役立っていると常々感じています。
ひたすら集めた包皮サンプル
楽しかったこと
週末は午前中にちょこっとラボに行って、培養細胞のメンテナンスやマウスの処置などをした後はフリーになれることが多かったです。なるべく家族と出かけて米国の自然を満喫し、時には仲良くなったファミリーとBBQをしたりと楽しみました。妻の好きなディズニーワールド(フロリダ)にも複数回行くことができました。留学後半は、英語もある程度話せるようになり、ラボやコラボしているラボの飲み会にも誘われるようになり、英語力をさらに鍛えることができたと感じます(最初は全然話せず、大いに恥をかきました)。また、ボストン界隈では日本人コミュニティーもあり、当時その代表?を務めていた京大の川上さんの家に押しかけて皮膚科メンバーで定期的に飲み会をしていました。川上さん宅の机が壊れてしまった件につきまして、この場を借りて陳謝いたします。
ディズニーワールドにて
川上さん宅の飲み会にて
つらかったこと
留学して早々にCOVID19のpandemicになってしまったことが不運でした。何よりも子供の学校もオンラインになってしまい、授業に全くついていけない日々が続いてしまったことで、妻も子供も疲弊してしまいました。毎日のように「いつ日本に帰るの?」という質問を浴びせられるのがつらかったです。その他、ウォシュレットがないこと、卵は生で食べれないこと、物価が高いことなどがつらかったです。
これから留学を考えている先生へ
臨床医にとって研究留学をすることは様々な意味があると思いますが、その中で一番大切なのは人脈の構築と思いました。臨床もそうですが、研究も一人でできることは限られていて、その時にいかに仲間を作って助け合うかが非常に大事と思います。そのマインドは米国のシームレスなラボのベンチに表れており、日本の大学病院ではなかなか実感することはできませんでした。仲間が増えると学会やその他イベントへの参加も楽しみに変わります。学会が楽しみになると研究を継続できます。研究を継続するとさらに仲間が増えます。
留学は困難なことも多いですが、それを乗り越えた先に一皮向けた自分が待っています。