国際活動
留学体験レポート:University of California, Davis - 内田秀昭
2024年12月18日公開
帝京大学皮膚科 内田秀昭
留学先
Department of Dermatology, University of California, Davis, CA, USAのSamuel T Hwang教授の研究室へ2024年4月から研究員として留学しています。過去に同研究室へ留学された日本人の中には教授になられた先生方も複数いらっしゃる伝統ある研究室です。
留学の経緯
父の留学に帯同していた関係で、私自身も幼少期に家族で海外にて生活をしていたことがあります。その影響で学生の頃から私もいつか留学をしてみたいと思うようになりました。所属医局の教授からかつての同僚であるHwang教授に連絡をしていただき、国際学会で面接の後、留学させていただくこととなりました。
留学先での仕事
主に乾癬、アトピー性皮膚炎の研究を行っています。日本でもモデルマウスを用いて同様の研究を行っていたため、比較的速やかに研究生活をスタートさせることができました。in vivo、in vitroのいずれも高いレベルで研究できる良い環境にあります。
留学生活について
なんといってもカリフォルニアの物価は非常に高いです。外食などはなかなかできないので、自炊をしたりディスカウントのクーポンを探したりと、なにかと節約する習慣が身につきました。反面、給与水準も高いです。カリフォルニア州の皮膚科医の平均年収は、2024年の時点で$300,000から$400,000程度。ご興味のある先生はUSMLEに挑戦してみるのも良いのではないでしょうか。またその一方で、社会的弱者の数も日本とは比べ物にならないくらい多いです。私の研究所の近くには治安が悪いところが散在しており、研究所から2ブロックくらい歩いたところにはホームレスの方が寝ていたり、麻薬中毒の方が歩いていたりします。このような状況なので家賃については妥協することはできず、「安全をお金で買う」とはこういうことなんだなと痛感致しました。
これから留学を考えている先生へ
カリフォルニアは多様性の州と言われるだけのことはあり、様々な国籍や言語などのバックグラウンドを持つ人々が共存して暮らしています。そのため日本では気になっていたことが気にならなくなったり、様々な価値観に触れることのメリットを留学を開始してからすぐに感じることができました。それだけでも留学をして良かったと思っています。しかしながら、長期的な円安とアメリカのインフレによる影響を鑑みると、経済的に余裕を持った状態で留学をスタートすることも重要かと思います。具体的には各種財団の留学助成の申請書の作成を開始したり、履歴書に記載するための論文を執筆するなど、できることから始めていくとよいかと思います。また、帰国子女以外の日本人にとって英語の壁というのは決して低いものではありません。日本にいるうちからオンライン英会話で練習するなど、コツコツと続けることが大事かなと感じました。カリフォルニアは年間250日以上が晴れと言われており、外を歩くだけでも大変気持ちが良い気候です。また車で2~3時間走ると国立公園を代表とする大自然が広がっており、ご家族を帯同されて留学される先生方などには非常に良い思い出作りができるのではないでしょうか。医師が生涯を振り返って後悔することに、「留学をしなかったこと」が上位に来ると聞いたことがあります。そのためチャンスのある先生はどんどん留学にチャレンジしていただければと思います。
いつも実験をしている研究室
University of California, Davisのメインホスピタル