国際活動
留学体験レポート:Yale University School of Medicine - 龍野一樹
2025年1月22日公開
留学先と留学期間
Yale大学医学部正門
2017年9月より、Yale University School of Medicine, Department of Dermatologyに所属しております。Richard Edelson Labで研究員として活動を開始し、現在も研究メインに活動を継続しております。2年目の活動中にCOVID pandemicが到来し、予期せぬ形で滞在期間が長くなっています。
ラボの特徴
ラボのPIであるRichard Edelsonが開発したECP(Extracorporeal photopheresis)はCTCL(皮膚T細胞性リンパ腫)やGVHDの治療手法として、現在も世界各国で施行されている免疫療法の一つです。体外循環光療法であるECPの作用機序の中心であるactivated monocytes(活性化単球)に極めて強い抗原提示能があることが解明されつつあり、我々のラボではこの細胞をより幅広く応用するための研究を行なっています。
ラボメンバー、ARPA-H会議にて。PIのRick(右から2番目)。筆者(一番左)。
7年間の振り返り
元々1、2年ほどの留学を予定してきておりましたが、予想外に長い滞在となってしまいました。きた当初と比べると色々なことが(主に生活面で)様変わりしたような気がします。私は家族5人で2017年に渡米しました。当時5年生であった長男は現地の高校を今年卒業する年になりました。Pre-k(保育園)から始めた末っ子も来年で小学校卒業です。最初は苦労していた英語も、現在ではネーティブ並みに上達し、すっかり生活に馴染んでいます。
借りていた家を途中で運よく購入できましたが、アメリカは現在深刻な住宅不足の状況にあります。家族で比較的長く滞在する予定がある場合、安心して暮らせる住居をどう確保するかということが大きな課題となると思います。物価も日本に比べるとかなり高く感じると思われるので、こちらでの滞在費用をどう確保するのかという点も前もって検討する必要があります。何らかのビザの形(JあるいはH)で来られる方が大半だと思いますが、多くの場合ビザには就労制限がついていますので、簡単にアルバイトなどもできません(違法になってしまいます)。ご家族で来られる場合、配偶者も積極的に仕事ができる環境を前もって準備するなどの事前活動ができると、渡米後のストレスが幾分か軽減できるかもしれません。
コネチカット州での生活
10月頃、ハロウィンに向けてたくさんのカボチャが近くの農場で売り出されます。
現在住んでいるコネチカット州はニューヨークとボストンの間くらいにあり、四季とともに変化する美しい自然に囲まれています。夏の水遊び、秋の紅葉、冬のスキー、春の庭いじりなど、季節に応じた楽しみがたくさんあります。私が所属しているYale Universityは1701年に創立された古い大学で、キャンパスには古いレンガ作りの建物が多くみられ、散策しているだけでも結構楽しいです。
これから留学を考えている方へ
クリスマス、ニューヘイブン市の街広場。
良くも悪くも、予定よりも長く滞在することになってしまいました。これから留学される方にも、当初の計画とは異なる場面に遭遇することになるかもしれません。その時、より多くの選択肢を得るために、少しでもその可能性があるのであれば前もってその準備をしておくことが大事です。より良い待遇を考慮してもらう、ビザの期限を最大限に設定してもらう、配偶者の就労ビザの確保、長期となっても子供が安心して通える学校がある場所に住むなど。私はその場しのぎでこれまでやってきましたが、後から考えるともっと上手く立ち回れたであろうことがたくさんあります。日本とは当然状況も異なるので、そもそも何に気をつければ良いのかのイメージが湧かないかもしれません。ですので、すでに渡米している先人にコンタクトをとり彼らから生の声を直に聞くのが一番大切です。人それぞれ状況も異なるので、なるだけ多くの方とコンタクトをとり色々な方の意見をまずは聞いてみるのが良いです。留学生同士、科の垣根を超えた繋がりがしっかりしているので、まずは誰かを紹介してもらい、そこからどんどんコンタクトを広げていきましょう。渡米前の方々からメールやズーム対話など(皮膚科外の方も多数)を受けることはしばしばあります。もしこれから留学を検討しており情報をお求めであれば、ぜひ遠慮なくご連絡ください、一助になれれば幸いです。
(kazuki.tatsuno@yale.edu)
夏、湖や川で水遊び。豊かな自然に囲まれています。
町で開催されるカーニバルは子供たちに大人気。