国際活動

留学体験レポート:UMass Chan Medical School - 大矢和正

2025年2月5日公開

留学先と留学期間

Department of Dermatology, UMass Chan Medical School(John E Harris研究室, Worcester, Massachusetts, USA)に2023年9月からポスドクとして留学しています。

留学の経緯

ある研究会で、Harris研究室に留学経験のある岡村先生とお話ししたことがきっかけとなり、Harris先生との面談の機会を得ました。12月の夜23時から始まった面談はとんとん拍子に進み、その場で留学の許可をいただくことができました。深夜の筑波の夜道を興奮冷めやらぬまま帰宅する途中に流れ星を3回見て、人生が大きく動いた瞬間を実感したのを覚えています。

留学先での仕事

尋常性白斑の患者サンプルや健常者の皮膚の他、白斑モデルマウスを用いて、T細胞を中心とした自己免疫疾患の発症・進展機構を明らかにすることを目指しています。

楽しいこと

もともと尋常性白斑の研究に携わりたいという思いから皮膚科医を志したため、研究に没頭できる環境にいられることを大変嬉しく感じています。また、私生活では、家族がアメリカでの生活を満喫していることが何よりの喜びです。研究を中心にしながらも、家族と過ごす時間が増え、良い思い出がたくさんできたことに感謝しています。

大変なこと

振り返ると、一番大変だったのは住居探しでした。家族より先に渡米し、気温30度を超える中、車がない状態で自転車を使いながら物件を探し回りました。しかし、内覧の約束をすっぽかされるなど、予想外のトラブルも多発しました。それでも、妻子の渡米の3~4日前になんとか契約を済ませることができました。現在は理解のある大家さんに恵まれ、快適に暮らしています。


住居探しで活躍した相棒“Roadmaster”。冬は気温がマイナス10度まで下がり、湖も凍ります。奥に見えるのはUMass Chan Medical Schoolです。

また、他の体験記にもあるように、円安の影響は生活に大きな負担を与えています。特にMassachusetts州は税金が高く、「Taxachusetts」と揶揄されるほどです。冗談半分で「家族の飛行機代が払えなくなるまで貯金が減ったら帰国だ」と話していますが、切実で現実味を帯びつつあります。


学食での食事。この日はクスクスとモロッコ風味のステーキと野菜いため。日本円で約1500円です。

これから留学を考えている先生へ

私が尊敬する上司から次のような言葉をいただきました。「留学に行くとしても、気張りすぎず、生きて帰ってくればそれでいいんです。」留学先での大発見を夢見て焦っていた私には、「結果を急ぐのではなく、まずは健康に気をつけながらしっかり経験を積むことが大切」というメッセージとして受け取りました。もちろん、大きな成果が得られれば理想ですが、すでに留学そのものが私の人生にとって非常に有意義なものになっています。

もし少しでも留学を迷っているのであれば、ぜひ思い切って飛び込んでみることをお勧めします。準備は大変ですが、そこで得られる経験は何ものにも代え難いものだと実感しています。


Department of Dermatologyのメンバー

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