国際活動
留学体験レポート:Singapore Immunology Network, A*STAR - 村松憲
2025年2月17日公開
留学先と留学期間
Singapore Immunology Network(SIgN), A*STAR, Singaporeへ2021年10月から2023年10月までの2年間。Florent Ginhoux先生が主催するラボにポスドクとして留学をしました。
留学の経緯
北大皮膚科は自分の留学先は自分で探すがモットーなので、大学院卒業後は自分で興味のある分野のラボにメールを送り、お返事のあったラボ長とスカイプミーティングを行い(今はZoomが主流となりましたが、当時まではスカイプでした)、留学先を決定するというスタイルでした。当時シングルセル解析で多くの論文業績を出していたラボであり留学させていただくことになりました。
留学先での仕事
類天疱瘡マウスモデルの骨髄球系・リンパ球系細胞のイムノフェノタイピングを行なっていました。多色のフローサイトメトリーに苦戦したのも良い思い出です。時間があるときには、シングルセル解析や空間オミクスのブートキャンプに参加したりして研鑽をつみました。
楽しかったこと
シンガポールという土地柄、シンガポール人、フランス人、インド人、イギリス人、日本人など非常に多国籍なラボでした。シンガポール人は皆とても優しく、わからない実験手技やラボのお作法について教えてくれました。コロナ禍とのことで留学期間の前半は飲み会も少なめでしたが、後半になるにつれて増えていきました。
大変だったこと
最初シンガポール人とインド人の英語が本当に聞き取れず苦労しました。世の中にはイギリス英語、アメリカ英語以外にも色々なアクセントの英語があることをこの身を持って体験しました。アジア系の経済発展が目覚ましい中、今後国際学会でもアジア人の話す英語を聞く機会が増えているとのことで、この経験を活かすことができることに期待したいです。またアメリカやイギリスなど留学生を受け入れる文化が整っていないため、留学のための長期滞在ビザは存在せず、同年代の他の業界(金融など)を基準にされた収入相当が必要でした。直前までビザが発行されるかヒヤヒヤしましたが日本皮膚科学会ともう一つのグラントを足してなんとかビザを発行していただくことができました。文字通りこの留学は日本皮膚科学会の助成金なしには成しえませんでした。
これから留学を考えている先生(考えていない先生も)へ
可能性を広げておくことが非常に重要だと思います。留学を考えていても、いなくても論文業績はいざというときに自分を助けてくれます(専門医取得にも必要ですしね)。また留学を必ず実現させたい先生は、今は昔と違って日本や世界の経済状況が変化していることを認識し、円安の影響も考慮して作戦を練り、またそれを1-2年おきに更新していく必要があると思います。常に最新の情報にアンテナを伸ばし続けることが大切かと思います。
コロナ禍なので隔離後のマーライオンとマリーナベイサンズ。観光客が全くいない。
お世話になったSIgNの建物Immunos。
初めてのGinhouxラボの集合写真では皆マスクが強制。
この頃は集合写真とるだけでもヒヤヒヤものでした。
コンドミニアムのバーベキュースペースでラボメンバーとバーベキュー