国際活動

留学体験レポート:University of California San Diego - 沼田智史

2025年2月17日公開

日本皮膚科学会 留学体験レポート
沼田智史

留学先

Gallo Lab, Department of Dermatology, University of California San Diego, CA, USA

留学期間

2023年4月~2025年1月(現在)

留学の経緯

アトピー性皮膚炎の皮膚免疫に関する研究で博士課程修了後、皮膚細菌叢や抗菌ペプチドの研究で著名なRichard L. Gallo教授にアポイントを取り、Web面談を経てGallo Labで研究する機会を得ました。

サンディエゴについて

サンディエゴはカリフォルニア州の南端に位置し、人口規模は州内でロサンゼルスに次ぐ第2位、全米では第8位にあたります。近郊にはサーフィンの名所であるLa Jollaや、ゴルフで有名なTorrey Pinesがあり、さらに車で2時間圏内にはディズニーランドもあります。年間を通じて温暖な気候で、自然災害も少なく、非常に住みやすい環境です。
また、社会全体に子育てを支える文化が根付いており、子どもの行動に対する寛容度が高いことも特徴です。日本のように周囲の目を過度に気にする必要がなく、子育てしやすい環境であると感じています。


La Jolla Shores(車で10分のサンディエゴの人気ビーチ)

Gallo Labについて

Gallo Labには、これまで多くの日本人皮膚科医が留学し、現在も日本で教授として活躍されている方が多数います。
Gallo教授は皮膚線維芽細胞の自然免疫への関与に関心があり、私はTh2免疫環境下での線維芽細胞の役割を研究しています。
実験をサポートしてくれるUCSDの学生や同僚たちの実験への深い理解度、基礎研究力、プレゼン能力の高さに刺激を受けながら、日々切磋琢磨しています。


Beach party集合写真(ラボメンバーと)


Halloween partyでPIと

 

カルチャーショック

留学生活の中で、いくつかの文化的な違いに驚かされました。

  1. 他国籍な環境
    スペイン、フランス、インド、中国など様々な国の研究者が在籍し、留学当初は訛りの強い英語に苦労しました。また政治や宗教に対する信念が強い人が多く、熱を帯びた議論が展開されることがあります。
  2. ラボでの働き方
    17時以降にラボで働いている人は極めて少なく、ラボでしかできないことを短時間で済ませ、その他の仕事は自宅で行うスタイルが多く、成果を上げている研究者ほどラボ滞在時間が短い印象です。また、毎週ピザを食べながらのラボミーティングや、昼の送別会での飲酒後そのまま帰宅するなど、日本ではあまり見られない慣習にも最初は驚きました。
  3. オンとオフの切り替え
    休日を完全に休息に充てる傾向が強く、アジア人は研究を詰め込みがちです。
  4. 出産に関する入院期間
    第2子がサンディエゴで生まれましたが、日本と異なり母子ともに健康であれば最短1泊入院で帰宅することも多いようです。


兄弟の初対面

これから留学を考えている先生へ

慣れ親しんだ環境を離れることは不安も尽きませんが、海外留学を通じて日本を客観視し、世界に目を向けると新たな選択肢が広がっていることを実感しています。
海外での生活は多くの学びや経験をもたらし、視野を広げるとともに、新たなキャリアの可能性を広げるきっかけにもなります。そのため、博士号取得後の選択肢として海外留学は非常に有意義です。
迷われている方は、ぜひ思い切って世界に飛び出してみてください。きっと新たな発見があるはずです。


2024 SID発表風景

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