国際活動

留学体験レポート:University of Pennsylvania - 平井郁子

2025年2月17日公開

留学体験記

平井郁子

留学先と留学期間

University of Pennsylvaniaの皮膚病理部が主催するDermatopathology International Observership(1年間のプログラム)に、2024年7月よりvisiting scholarとして参加しています。

留学の経緯

本International Observershipは、年間1名の国外の皮膚科医あるいは病理医を対象とした、病理診断力の向上と国際的な皮膚病理医の育成を目的とする教育プログラムです。診療科内の皮膚病理係として様々な症例を経験する中で、より皮膚病理の知識を深め、診断力を高めたい、と感じ、応募しました。

留学先での仕事

主として、同年度の皮膚病理部Fellowship programに参加している2名の米国皮膚科医と同じスケジュールで学んでいます。毎朝届く標本を分担して読み、その後に教授や講師陣による診断サインアウト(deep cutや免疫組織化学の追加検討、臨床情報と照らし合わせたディスカッション、病理報告書作成の指導)があります。悩ましい症例はスタッフ全員が集うconsensus meetingでさらに検討していきます。この他に、皮膚病理医による講義、抄読会、他大学との勉強会での発表や、学会症例発表・論文作成などがあります。

半年間を終えて

初めての米国生活で、生活の立ち上げやフィラデルフィアの環境に慣れるまでに時間を要しました。フィラデルフィアは建国ゆかりの地と言われ、歴史ある建築物や美しい美術館がある素敵な街ですが、一方で、治安の悪い場所もあり犯罪も少なくありません。心細くなる時もありましたが、常に前向き、かつ余暇を楽しむことが得意な素晴らしい同僚達に恵まれ、美味しいレストランの探索や、本場アメリカのThanksgiving、Christmasイベント、ポットラックパーティなどを経験できたことは、忘れられない思い出になると思っています。また、ASDP the 61st Annual Meetingでは学会発表だけでなく、シカゴ観光も楽しみました。
病理について、予想をはるかに超える標本の量であり(多い日は1日に400症例近く届きます)、これに慣れるまでに時間を要しました。米国で皮膚病理を学ぶことの魅力として、多くの症例を経験できることだけでなく、教育が非常に充実していることも挙げられます。皮膚病理医による講義をはじめ学習教材が豊富にあります(teaching slideのほか、U Pennだけでなく複数の大学でオンデマンド動画の病理講習会が開催されており、参加することができます)。今は、サインアウトや上記の場で学んだことの復習、文献検索などを繰り返すことであっという間に時間が過ぎていく毎日です。英語に関しては、自身の意見を明確に表現する力やネイティブの速い日常会話についていく力がまだまだである、と痛感しており、諦めずに並行して英語学習も続けています。
海外留学は、異なる環境で生活するという点で苦労はありますが、一つのことに集中して学び、同じ志を持つ医師や研究者と出会うことができる素晴らしい機会だと実感しています。残りの半年間、少しでも多くの知識を吸収し表現する力を身につけたいと思っています。


写真:ご指導頂いているRosalie Elenitsas先生(右)、Emily Chu先生(左)と。


写真(顕微鏡):皮膚病理部

 


写真(建物):Philadelphia Museum of Artはお気に入りの美術館です。


写真(動物):(attackしてくるらしいので近付かないよう言われていますが)通学時の癒しです。

 

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