Q4遺伝性の色素異常症にはどのような病気がありますか?
病態別に分類すると表1の様になります。
1.メラノサイト分化・発生・遊走に関わる遺伝子の異常 |
この中で最も頻度が高いのは眼皮膚白皮症です。正確なデータはありませんが、日本人では数万人に1人の頻度と考えられております。
主な疾患の説明は以下の通りです。
1)まだら症
左右両側性に顔面、特に前額部、胸腹部、四肢に白斑が見られます。白斑は生下時より存在し、基本的には生涯にわたってその分布パターンは変化しません。c-KIT遺伝子の変異により発症する常染色体優性遺伝性疾患です。
2)ワールデンブルグ症候群
(1)内眼角開離、(2)鼻根部の拡大、(3)両側眉毛の合流、(4)前頭部の白毛、(5)部分的前虹彩異色症、(6)先天性聾または難聴、などの症状を認めます。基本的には感音性難聴と色素異常症の合併が見られる疾患です。タイプによっては、四肢の奇形、神経精神症状、巨大結腸症の合併が見られます。
3)遺伝性対側性色素異常症
顔面にそばかす様色素斑、手背と足背に米粒大褐色斑と白斑が混在する特徴的な臨床症状を呈する常染色体優性遺伝性疾患です。出生時には皮膚症状は見られず、生後しばらくしてから特徴的な皮疹が出現します。10歳までには症状は完成し、以後は変化しません。
4)眼皮膚白皮症
生下時より、メラニンが減少、あるいは消失しており、白毛、まぶしさ、視力障害が生じる常染色体劣性遺伝性疾患です。これまでに原因遺伝子が7種類報告されております。日本人では、1型が最も多く、その次に4型、2型、そして3型の順番です。1)
患者の会が下記の様に国内外にあります。
日本アルビニズムネットワーク:http://www.albinism.jp/about_us/
The National Organization for Aibinism and Hypopigmentation:http://www.albinism.org/
5)眼白皮症
眼球の虹彩、眼底のメラニン色素沈着障害が起こり、それによる眼振、羞明、弱視等の症状を認めます。眼球以外の部位の色素沈着は全く正常です。X染色体に存在する遺伝子変異により発症する伴性劣性遺伝性疾患です。
6)ヘルマンスキー・パドラック症候群
眼皮膚白皮症と出血傾向を症状とする常染色体劣性遺伝性疾患です。現在、9種類の原因遺伝子が明らかにされておりますが、日本人では1型のみが確認されております。また、日本人では白皮症を呈する症例の約10%が本症です。いくつかのサブタイプにおいては、高率に合併する予後不良の疾患があり(間質性肺炎、肉芽腫性大腸炎など)、早期診断による予防対策が必要です。
文献:1)Suzuki T & TomitaY: Recent advances in genetic analyses of oculocutaneous albinism types 2 and 4. J Dermatol Sci 51:1-9 (2008)