皮膚科Q&A

皮膚科Q&Aを検索

アザとホクロ

Q15イチゴ状血管腫に対してはどうすればよいのでしょうか?

印刷

 イチゴ状血管腫は生後2~3週間、遅くとも3ヶ月以内に発生し、1~2週間で急速に大きくなって盛り上がる血管腫です(資料18)。その後6ヶ月から1年で最大に達しますが(増殖期)、その後全例が主に中央部より徐々に縮小し(退縮期)、ほとんどわからなくなります。しかし一部ですが、小さくなっても皮膚の表面に細かい血管が浮き出たり(毛細血管拡張)、ぶよぶよした弛み、皮膚萎縮や瘢痕を残すことがあります。従って7歳以降に存在するものは、それ以上待っていても小さくなることはないため、手術療法(病変部を切って縫い合わせたり、植皮をする。当然手術跡は残る。)を受ける必要があります。また毛細血管拡張であればレーザー療法がある程度効果があります。
 また耳、鼻、口唇に生じたイチゴ状血管腫は潰瘍となったり、皮膚欠損となることがあります。また、上まぶたに生じたものは目を開けなくしてしまい、長時間この状態が続くと視力の発達が障害されます。また巨大なものは場所により種々の閉塞症状、例えば気道閉塞や摂食障害をきたすことがあります。そこでこのようなイチゴ状血管腫に対しては治療をしなければなりません。治療としてはいくつかの方法がありますが、速効性の点でステロイド療法(ステロイドの内服や局所注射など)が優れています。そのため緊急性を要する場合はステロイド療法を行うべきです。レーザー治療もある程度効果がありますが、増殖期にレーザー治療を行っても増殖を止めることはできません。また退縮期にレーザー治療を行えば、確かに治療に応じて色調は薄くなりますが、イチゴ状血管腫はもともと自然に消える傾向があるため、7歳頃以降にはレーザー治療をした部位と、しない部位ではほとんど色調に差がみられなくなります。従って必ずしも副作用がゼロでないレーザー治療をイチゴ状血管腫全例に行う必要はありません。その他ウイルスの働きを抑えるαインターフェロンという薬が有効との論文もありますが、科学的に実証されている訳ではありません。また人工塞栓術(Q16参照)という治療法があり、生命の危険を及ぼすようなイチゴ状血管腫に適応となります。

このページの先頭へ