会員の皆様へ
デュピルマブ適正使用に関する注意喚起
2021年08月30日
各位
デュピルマブはIL-4受容体αに対する抗体で、既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎、既存治療によっても症状をコントロールできない重症又は難治の気管支喘息、既存治療で効果不十分な鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎に保険適用となっており、多くの患者さんに投与され、病気のコントロールに役立っています。
この薬剤のアトピー性皮膚炎に対する効果は臨床試験によって証明されているものの、アトピー性皮膚炎類似の臨床像を示したり、Th2優位であることが報告されたりしている他の皮膚疾患に対する使用については、効果や安全性は確認されていません。アトピー性皮膚炎以外の皮膚疾患への使用は、倫理委員会の承認を得た後に、患者さんの同意のもとに臨床試験としてなされるべきであり、それ以外の適用外使用は厳に慎む必要があります。特に皮膚悪性リンパ腫については、デュピルマブ投与後に病勢が悪化した報告が集積されつつあり(文献1)、海外では死亡例の報告もあります。デュピルマブを患者さんに投与する際は、アトピー性皮膚炎と鑑別すべき疾患をきちんと除外し、適正使用ガイドラインを参照のうえ、ご使用いただくようにお願い致します。
文献1:Sugaya M. Is blocking IL-4 receptor alpha beneficial for patients with mycosis fungoides or Sézary syndrome? J Dermatol 48: e225-e226, 2021