Q10性器に潰瘍をつくる疾患はどんなものがありますか?
陰部潰瘍性疾患(genital ulcer diseases)として、梅毒(硬性下疳)、性器ヘルペス、軟性下疳、鼠径リンパ肉芽腫症、鼠径肉芽腫症があげられます。潰瘍の鑑別点を表3に示します。STI以外にベーチェット病、帯状疱疹との鑑別が必要です。ベーチェット病の臨床像は慢性に経過する炎症性疾患であり、初発症状として口内炎が一般的です。高熱に続いて陰部潰瘍が出現するので、性器ヘルペス初感染とまちがえることがありますが、ベーチェット病の場合激しい疼痛と深い潰瘍が特徴で、大陰唇、陰嚢が好発部位です。
陰部潰瘍性疾患の原因は、ジャマイカからの報告によると性器ヘルペス7.8%、梅毒18.8%、軟性下疳13.3%、鼠径リンパ肉芽腫症3.9%、鼠径肉芽腫症2.3%、残りのものは原因不明であり、また、ニューヨークでの初発陰部潰瘍を男女82例について調査したところ、梅毒33例、軟性下疳27例、性器ヘルペス24例であったと報告されております。軟性下疳は性感染症サーベイランス研究班の2カ月間のみの調査で11名報告されていることから本邦でも今後増加すると考えられます。
急性HIV感染症を捕らえられることは稀ですが、インフルエンザ様発疹(56.4%)に発疹、陰部潰瘍(出現率30~40%)、口腔内アフタ(70%)を効率に伴います。
