新型コロナウイルス感染症

COVID-19感染に係る分子標的薬の使用について

1.American Academy of Dermatologyからのガイダンスについて

American Academy of Dermatology(AAD)から「COVID-19発生時の分子標的薬の使用に関するガイダンス」が発表されています。詳細については、次のPDFファイルをご覧ください。

COVID-19アウトブレイク時における分子標的薬使用に関するガイダンス(PDF/141KB)

2.日本乾癬学会理事長からのコメントについて

AAD statementとともに、乾癬における分子標的薬使用ガイダンス(日本皮膚科学会;2019年版)に記載されている内容(治療禁忌、副作用が発現しやすい患者への安全対策マニュアル)を、今一度確認してください。

新型コロナウイルス感染(以下COVID-19)が検査で陽性となった場合には、治療禁忌に記載されている「重篤な感染症を有する患者」に該当する可能性があります。発熱や咳嗽等の症状が軽度、あるいは何ら症状がない場合の治療推奨は難しいところですが、分子標的薬による治療は中止または延期した方がよい、という見解が欧米から示されています(AAD以外にInternational Psoriasis Council (IPC) からも同じ見解が出ています)。

COVID-19感染を疑う症状が現れても、症状が軽度で通常の感冒と変わりがなく、検査も受けていない状況であれば、感冒時と同様の扱い、すなわち予定日に投与を行うかどうかを主治医が慎重に判断するのが望ましいと考えられます。高熱の持続、呼吸困難などの症状があれば当然分子標的薬の治療禁忌と考えられ、治療中であれば中止のうえ、胸部CT等を含めた速やかな内科コンサルトが必要ですが、症状が軽微であればAAD statementにあるように、患者の乾癬のもともとの病型や重症度(重要なのは分子標的薬中止による急激な悪化が予想されるか、されないか)と同時に、もしCOVID-19感染症が判明した場合にそれを重篤化することが明らかになっている因子、すなわち患者の年齢(高齢者)および併存疾患があげられます。心肺疾患、高血圧、糖尿病、喫煙などがある場合は特に注意が必要であり、これらに該当する場合は、予定日の投与を含め投与継続の判断はより慎重に行うべきでしょう。

日本乾癬学会理事長 大槻 マミ太郎

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