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メラノーマ(ほくろのがん)

Q2メラノーマとはどんな皮膚がんですか?

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 メラノーマは、日本語では悪性黒色腫とも呼ばれ、皮膚のメラニン色素を作るメラノサイト(色素細胞)ががん化した腫瘍と考えられています。通常、がん細胞がメラニン色素を多量に産生することで黒色の病変となることが多いため、黒色腫と呼ばれます。一方で、がん細胞のメラニン色素産生の程度はさまざまで、あまり産生されないと色調は褐色~茶色となり、メラニンをほとんど産生しないと、常色~淡紅色を呈することもあります。
 メラノーマは、発生しやすい部位や形態によって主に4つのタイプに分けられています。

  • 末端黒子型:足のうらや手のひら、手足の爪部(正確には爪下部)などに発生するメラノーマです。日本人メラノーマの約40%を占める病型であり、日本人に最も多いタイプです。典型的には色調や形が不規則な、たいらな色素斑がみられ、色素斑の一部に隆起する病変がみられます(図4、5、6)。
  • 表在拡大型:胸・腹・背中など体の中心部や手足の付け根に近い部位など、時折日焼けをする部位に発生するメラノーマです。白色人種で最も多いタイプであり、日本人でも肌の色が白い人に発生が多いタイプです。典型的には黒色のボタンを置いたような見た目を呈します。(図7、8)
  • 結節型:とくに発生部位は関係なく、結節状のがん細胞の塊がだんだん大きくなってくるタイプです。結節のまわりには、末端黒子型でみられるようなたいらな色素斑がみられません。(図9)
  • 悪性黒子型:持続的な日焼けをしやすい顔面に発生し、高齢者に多いタイプです。不規則な色調や形が不規則な、たいらな色素斑が徐々に拡大してくるタイプです。時間がたてば色素斑内に結節が生じてきます。(図10、11)

 その他に皮膚以外に生じるメラノーマとしては粘膜メラノーマがあります。鼻、口腔内、女性の小陰唇、膣などに生じます。また眼球の内部の壁に生じるメラノーマもあります(脈略膜メラノーマ)。
 近年では上述の発生部位や見た目の特徴から区分けしたタイプの他に、がん細胞内の遺伝子変異の特徴に応じて区分けされた分類が提唱され、徐々に使用されてきています。

図4. 足のうらのメラノーマ(末端黒子型)
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図5. 手のひらのメラノーマ(末端黒子型)
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図6. 足の爪のメラノーマ(末端黒子型)
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図7. 腹部のメラノーマ(表在拡大型)
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図8. 下腿のメラノーマ(表在拡大型)
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図9. 胸のメラノーマ(結節型)
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図10. 高齢者顔面のメラノーマ(悪性黒子型)
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図11. 高齢者顔面のメラノーマ(悪性黒子型)
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