監修
医学博士
塩原 哲夫
(杏林大学医学部皮膚科 教授)
塩原 哲夫
(杏林大学医学部皮膚科 教授)
薬疹とは、薬を内服したり注射したりすることにより生ずる発疹のことです。その中でも問題となるのは、薬を投与されたごく一部の人に生ずるアレルギー性薬疹です。ふつう薬疹といった場合には、このアレルギー性薬疹を指し、薬に対して反応するような細胞や抗体がある人(これを薬に感作された状態と呼びます)にのみ生じます。通常、薬に反応するこのような細胞や抗体が出来るのには内服を始めて1~2週間程かかるので、そこで初めて発症すると考えられています。ですから全て内服したことのない薬で(アレルギー性)薬疹を生ずることはないはずです。もし、あったとすれば、それは既にその薬と似た構造を持つ他の薬に感作されていたと考えるべきでしょう。薬疹の中でも重症の薬疹とされているものに、中毒性表皮壊死症、スチーブンス・ジョンソン症候群があります。最近、これに加えてウイルスが関与する薬剤性過敏症症候群という病態の存在が明らかになり注目を集めています。これらの重症薬疹では、原因となった薬を中止しただけで良くならず、どんどん悪化しますので、早く対応することがとりわけ重要となります。