Q3薬剤性過敏症症候群とはどういう病気ですか?
これは薬疹といっても、薬の他にウイルス感染が関係してくる病気です。他の薬疹と比べとてもユニークな特徴があります。原因となる薬は抗痙攣剤が圧倒的に多く、その他尿酸を下げる薬などがあります(資料4)。薬を飲み始めてから発症するまでに時間がかかるのが特徴で、多くは3週間以上で平均4週間と言われていますが、なかには1年以上たって発症することもあります。発熱と、痒みのある紅い斑で発症することが多く、リンパ腺が腫れ、白血球が増えてきます。発疹は圧迫部では融合する傾向が強く、紅斑は出血が混じるため鮮紅色~紫紅色調となります。発症時には淡い紅斑だったのが(資料5)、原因薬を中止しても数日後には著明な悪化(資料6)を認めます。殆どの場合、原因となった薬を中止しても、良くなるどころか、どんどん悪くなってきます。肝臓や腎臓などの症状の他、神経症状など様々な臓器の症状を呈してくるのが特徴です。原因となった薬以外で発症後に使用した薬(とくに抗生剤や解熱鎮痛剤)に対しても反応を示す場合が多いため、本症では治療として使う薬の選択が非常に難しくなります。本症が最近注目されるようになったのは、本症の殆どの例においてヒト6型ヘルペスウイルス(HHV-6)の再活性化が認められることが明らかになったからです。このウイルスは赤ちゃんがかかる突発性発疹の原因ウイルスで、殆どが乳幼児期に感染してそのまま潜伏します。それが何かのキッカケで再び増殖を始めた状態が本症なのです。つまり薬を投与しているうちに、そのようなウイルスの再活性化状態が起こったと考えられます。しかも6型ヘルペスだけでなく、サイトメガロウイルスやEBウイルスなど様々なヘルペス科のウイルスが、次々と再活性化し、いろいろな臓器に炎症を起こしてくるのです。そのため本症は原因薬を止めた後も、極めて多彩な症状、経過をとるのです。
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背部の圧迫部を中心に著明な浮腫性の紅斑を認めます。出血斑が混在しているため紫褐色にみえます。

背部に紅斑を、びまん性に認めます。
