Q7薬疹と診断するにはどのような検査が行われますか?
患者さんの体を使って行う方法と、血液を使って行う方法とがあります。前者は薬疹がひどい時には行いにくく、軽快してから確認のために行われることが多いようです。そのうち最も良く行われるのは、パッチテストといって原因となった薬を軟膏にして背中に貼るテストです。この方法の場合に注意しなければならないのは、この結果を過大に評価しすぎないことです。薬疹の多くは原因となった薬が体の中で代謝されて生ずるのですが、パッチテストでは薬をそのままを軟膏の形で皮膚に貼るのですから、本当に原因だったとしても陽性に出ない場合(偽陰性)もかなり多いのです。一方、余りに高濃度の薬を貼ると、それだけで刺激反応が起こってしまい、間違って陽性と判定される場合(偽陽性)もあります。しかも余りに高い濃度でパッチテストをすると、本来その薬にアレルギーを持っていない患者さんまで、感作してしまう(つまり新たにアレルギーになってしまう)危険性すらあるのです。
最も確実なのは、もう一度原因薬を内服していただく誘発試験(内服試験)です。しかしこの場合には原因薬をそのまま内服するのではなく、1/10~1/100あたりから投与する方が安全と言えます。重症の薬疹の場合は、次の項で詳しく述べます。患者さんはこの誘発試験をいやがる場合が多いのですが、ここまで行って原因薬を決定しておいてこそ、後から役立つ貴重な情報となるのです。
その点、血液を使って行う検査法は患者自身の負担はありませんが、保険で全てをカバーできないという欠点もあります。この方法は患者さんの血液(リンパ球)と原因薬剤を試験管内で混ぜ、薬剤に対する反応をみる方法です。この方法でも、偽陽性、偽陰性はかなりあり、判定はあくまで他の検査法の結果や臨床症状と照らし合わせて行うべきです。いずれにせよ、ここまでの検査法を行えば、薬疹と診断するための十分な情報が得られるはずです。