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薬疹(重症)

Q8重症薬疹の場合でも、誘発試験は行うのですか?

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 これについて欧米のグループの中には、重症薬疹では絶対誘発試験は行うべきではない、と言う意見もあります。我が国でもそのような考え方は根強いのですが、重症薬疹だからこそ原因薬ははっきりさせておかないと危険だという考え方も出来ます。例えば、重症薬疹で経過などから原因薬と推定出来るものは多くの場合数種類(しかもそれも確実とは言えない)程度に絞れる場合が多いのですが、それはあくまで推測に過ぎません。そのような推測の結果を患者さんに説明しても、患者さんは果たしてそれを覚えていて必ず病院にかかる時に話してくれるでしょうか? 後に別の医師を受診した場合、医師の側もそのような不確実な情報では、どれを処方して良いか判断に迷ってしまいます。重症の薬疹を起こした薬は以後絶対に内服しないようにするためには、以下の誘発試験を行っておいた方が良いのです。
 しかし重症薬疹の患者さんに誘発試験を行う場合には、いくつかの注意点があります。一つは内服前に必ず血液検査で異常ないかどうか(とくに薬剤の排泄に関連する肝、腎機能)を確認しておく必要があります。もう一つには、薬剤を再投与する際の濃度を極めて少量から行うことです。例えばふつう飲む量の1/1000から始め、その前後で検査成績異常や皮膚に何の発疹も出ないことを確認したうえで、数日後から1/100→1/10と慎重に量を増やしていくことが大事です。最後にふつう飲む量を投与するわけですが、出来れば点滴のルートを確保した上で行う位の慎重さがあって良いと思います。少なくともこのように十分に注意して行えば、たとえ重症薬疹でも問題が生じることはないはずです。しかし、原因薬を内服した場合、発疹が生じてくる可能性のある数時間から数日間程度は様子をみなければなりません。ですので、この誘発試験は医師が手薄になる休日前には決して行わないようにしなければなりません。

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