Q4イボ(ウイルス性疣贅)はうつるのですか?
イボ(ウイルス性疣贅)は、今まで書いて来ましたようにウイルス(HPV)が感染してできる皮膚や粘膜の病気ですから、もちろん「うつる」可能性を秘めています。しかしながら、私たちの皮膚や粘膜はQ2で述べた解剖学的な構造や免疫の働きなど他の様々のバリアー機構でウイルスや細菌などの感染から守られており、正常の皮膚や粘膜には通常感染しにくいと考えられます。
ただしQ2で述べたように、皮膚や粘膜に小さい傷ができて侵入を許したり(資料6)、様々の感染から私たちの身体を守っている免疫力が何らかの理由で低下すると、イボができ易かったり、ひどくなったり、治りにくくなることが知られています(資料12)。したがって、免疫力の低下を引き起こすような病気に罹っている時、免疫を押さえるような治療を受けているような時やアトピー性皮膚炎などで皮膚のバリヤー機能が低下しているような時には、特に注意が必要です。また、特別な場合ではなくても、手あれや髭剃りなどに伴う眼に見えないくらいの小さな傷からも侵入しますので要注意ですね。
また、「うつる」ことについて言えば、尖圭コンジローマ(資料10)やボーエン様丘疹症(資料11)が性行為でうつる性感染症(性病)であることも、ぜひ知っておいて下さい。特にボーエン様丘疹症は、子宮癌とだいたい同じ型のHPVが感染して生じますので、この点からも性パートナーを含めた感染予防や治療が必要です。
免疫力の低下した患者さんの踵にできた重症の足底疣贅。
